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ROCmソフトウェアが Sienna Cichlid (gfx1030) サポートに向けて動き始める

AMD が開発する HPC や GPUコンピューティングのオープンソースプラットフォーム、ROCm を構成する一部ソフトウェアが RDNA 2 /GFX10.3 GPU、Sienna Cichlid (gfx1030) のサポートに向けて動き始めた。

現時点では、ROCmプラットフォームにおいて疎行列計算を行なうためのインターフェイス rocSPARSE と機械学習ライブラリ MIOpen に初期的なサポートが追加されている。
gfx1030 enablement (#113) · ROCmSoftwarePlatform/rocSPARSE@1b00b6c Update device_name.hpp · ROCmSoftwarePlatform/MIOpen@e309e99

rocSPARSE では、新たに Wave32 への対応も追加されている。
Wave32 には RDNA /GFX10 世代の GPU Navi10/Navi12/Navi14 から実装されているが、これら GPU のサポートは rocSPARSE や MIOpen 等の ROCmソフトウェアには追加されておらず、飛ばしての RDNA 2 /GFX10.3Sienna Cichlid のサポートとなる。
RDNA /GFX10 GPU に関しては過去に、それらの公式サポートが ROCm に追加されるか、という質問に対し、公式なサポートはサーバー向け GPU Radeon Instinct を用いて検証が行なわれるとコメントされている。1
RDNA /GFX10 をベースとしたサーバー向け GPU がリリースされていない、また今後リリースする計画もない だろう ことからサポートを飛ばされたものと思われる。

ならば、早い段階で Sienna Cichlid のサポートが追加されたことは、それをベースとしたサーバー向け GPU の可能性を示している。
Sienna Cichlid は Linux Kernel へのパッチから、デコード担当とエンコード担当で分かれる 2基の VCN3 を持つことや2、XGMI によるマルチGPU3 や ECCで検出されたメモリエラーを収集する RAS機能をサポートすることが分かっている。4
これらはサーバー向け GPU として有用な機能と言え、Sienna Cichlid ではゲーミング向けだけでなく、サーバー向けも想定して設計されたと考えられるだろう。