CES 2022 に併せたライブストリーミングにて AMD より新たな CPU、GPU、APU が発表された。
発表内容すべてをまとめる気力はないため、一部を個人的な記録としてまとめる。内容すべてを知りたいときは各種ニュースサイトか公式発表を確認してほしい。以前にも書いたが、このサイトはあくまでもオタクの日記。
- AMD 2022 Product Premiere - Youtube
- AMD Unveils New Power-Efficient, High-Performance Mobile Graphics for Premium and Thin-and-Light Laptops, and New Desktop Graphics Cards :: Advanced Micro Devices, Inc. (AMD)
- AMD Unveils New Ryzen Mobile Processors Uniting “Zen 3+” core with AMD RDNA 2 Graphics in Powerhouse Design :: Advanced Micro Devices, Inc. (AMD)
- AMD Presents Latest High-Performance Computing Technologies in 2022 Product Premiere Livestream :: Advanced Micro Devices, Inc. (AMD)
Index
Ryzen 5x25U /Pro 5x75U (Barcelo)
Barcelo APU をベースとする Ryzen 5x25U /Pro 5x75U が発表された。Barelo は Cezanne と同じく CPU に Zen 3 、GPU に Vega (GFX9) を採用している。プロセスも同様に TSMC 7nm FinFet で製造され、パッケージも続いて FP6。
Renoir に対する Lucienne のように、電源管理機能等を改良したという情報はなく、GPU部の有効 CU 数と動作クロックは Cezanne ベースの Ryzen 5x00U と変わらない。
違いとしては CPU の Base Clock、Boost Clock のどちらか、あるいは両方が 0.1 GHz 向上したぐらいものとなっている。
Ryzen Pro 5x75U も SKU 3種が発表されたが、プロセッサ仕様はモデルナンバーが対応する非 Pro SKU と同じ。
Codename | Core/Thread | Base Clock (GHz) | Boost Clock (GHz) | GPU CU | GPU Clock (GHz) | |
---|---|---|---|---|---|---|
5825U | Barcelo | 8/16 | 2.0 | 4.5 | 8 | 2.0 |
5625U | Barcelo | 6/12 | 2.3 | 4.3 | 7 | ? |
5425U | Barcelo | 4/8 | 2.7 | 4.1 | 6 | 1.6 |
5800U | Cezanne | 8/16 | 1.9 | 4.4 | 8 | 2.0 |
5600U | Cezanne | 6/12 | 2.3 | 4.2 | 7 | 1.8 |
5600U | Cezanne | 4/8 | 2.6 | 4.0 | 6 | 1.6 |
Ryzen 6000U/H/HS/HX (Yellow Carp [Rembrandt])
TSMC 6nm FinFet プロセスで製造され、Zen 3+ と RDNA 2 を組み合わせた APU をベースとする Ryzen 6000U/H/HS/HX シリーズ が正式発表された。
Zen 3+ では電力管理機能が強化され、クロックの切り替えレイテンシ削減と新たな Deep Sleepステートにより、性能と電力効率が一緒に強化されているとする。
GPU部は RDNA 2 アーキテクチャ となっただけでなく、L2キャッシュと RB (RenderBackend) の規模は倍に、CU数は Renoir/Lucienne/Cezanne (Green Sardine) /Barcelo の 8基から 12基へと 1.5倍になった。1
補足すると、RB (Render Backend) あたり 8 ROP相当という意味での RB+ は APU だと Stoney Ridge や Raven (Zen, Vega, 14nm) の世代から実装、有効化されていた。
そのため Pixel Rate は RB数同様のスケールとなっている。RDNA 2 アーキテクチャ の採用と併せて 4倍ということにはならない。
一部の AMD GPU で実装、有効化されている RB+ とは何か | Coelacanth’s Dream
単純な数値の比較ではあるが、Shader Processor と Pixel Rate において、Tiger Lake-U や Alder Lake-P/M に搭載されている Intel Gen12 GT2 は最大で 768 SP、24 ROP相当であり、それら規模では今まで AMD APU より上だった。(実性能は動作クロックやドライバー、メモリ性能等が関わってくる)
Yellow Carp ではそれを追い抜き返した形となる。
iGPU | Renoir /Lucienne /Cezanne (Green Sardine) /Barcelo |
Yellow Carp (Rembrandt) |
Gen12 GT1 (TGL-H /RKL-S /ADL-S) |
Gen12 GT2 (TGL-U /ADL-P/M) |
---|---|---|---|---|
8 CU | 6 WGP (12 CU) |
32 EU | 96 EU | |
Shader Processor | 512 SP | 768 SP | 256 SP | 768 SP |
Pixel Rate | 16 | 32 | 8 | 24 |
GPU Cache | L2 1024 KiB | L2 2048 KiB | 1920 KiB | 3840 KiB |
ダイサイズはプロセッサ仕様によると 210mm2 としており、Cezanne の約 180mm2 より大きくなっている。
CPU部は Zen 3 と電力管理機能を除いてほとんど同じとされているため、PCIe Gen4, USB4 に対応した I/O部、RDNA 2 アーキテクチャ の採用と同時に規模が大きくなった GPU部の影響と思われる。
Vega (GFX9) 世代の APU では、GPU部のモデル名が CU数をそのまま反映したものになっていたが、Ryzen 6000U/H/HS/HX では Radeon 660M (6 CU) と Radeon 680M (12 CU) という名前が付けられている。
GPU部だけを見たときのラインラップがかなりすっきりとし、わかりやすくなったと感じるが、Radeon 660M は 1900MHz で統一されているのに対し、Radeon 680M は Ryzen 6980HS/HX のみ 2400MHz、それ以外が 2200MHz となっている。
とはいえ同じ Vega (GFX9) 世代であっても有効 CU 数、動作クロックがバラバラだったのと比べればずっとわかりやすい。
AV1デコードの有無
個人的なトピックだった、Yellow Carp (Rembrandt) のハードウェア AV1デコードの有無については、びみょうにはっきりしないところがある。
まず、半年近く前 (2021/07/14) に投稿されたパッチで、Yellow Carp がHWデコードをサポートするフォーマットの中に MPEG2, MPEG4, VC1, AV1 は無かった。
現時点で該当部分に変更はされていない。
他 RDNA 2 GPU とは対応コーデックが異なる Yellow Carp APU と Beige Goby GPU | Coelacanth’s Dream
だが発表会中では、Ryzen 6000 シリーズ は AV1デコードに対応するとしていた。2
パッチで追加されたコード部は DRM API 経由で amdgpu_asic_query_video_codecs
を実行したときに対応するフォーマットの情報を返すのに使われているが、User Mode Driver である Mesa3D ではその中で対応サイズの情報だけを使っていた。
少しだけ話がずれてしまうが、AMD のプロセッサ仕様ページが最近アップデートし、Intel ark に近い形式となった。コードネームやアーキテクチャ、ダイサイズ等の情報が追加され、同時に見やすくなったと感じる。
Ryzen 6000 シリーズ のページも既に公開されており、Rembrandt の名が確認できる。
対応ビデオフォーマットの情報もあるのだが、Ryzen 5 6600U と Ryzen 7 6800U とでズレがあり、参考にしにくい。
どちらにも AV1デコードの表記が無いのだが、何故か対応サイズが 1080p までだったり、Ryzen 5 6600U には MPEG2, VC1 があったりと、公開直後である現時点ではやはり参考にできない。
一応、Mesa3D でも Beige Goby (Navi24) と Yellow Carp (Rembrandt) は MPEG2, MPEG4, VC1 に対応しないとしている。CHIP_BEIGE_GOBY
と PIPE_VIDEO_FORMAT_MPEG4_AVC
はそれぞれ enum
で管理されている。3 4
switch (param) { case PIPE_VIDEO_CAP_SUPPORTED: if (codec < PIPE_VIDEO_FORMAT_MPEG4_AVC && sscreen->info.family >= CHIP_BEIGE_GOBY) return false;
そういう訳で Yellow Carp の AV1デコードについてはまだ少し判然としないところがある。
Radeon RX 6500 XT / RX 6400 (Beige Goby [Navi24])
新たな RDNA 2 dGPU Radeon RX 6500 XT / RX 6400 が発表された。
メモリバス幅、Infinity Cache の規模から Beige Goby (Navi24) をベースにしていると思われる。
RDNA 2 dGPU では最も小規模で、Ryzen 6000 シリーズ と同じく 6nmプロセスで製造されることが特徴に挙げられる。
RX 6400 は 1スロット、TBP (Total Board Power) 53W、WGP 6基 (CU 12基)、GDDR6 16Gbps 4GB、
RX 6500 は 2スロット、TBP 107W、WGP 8基 (CU 16基)、GDDR6 18Gbps 4GB となっている。
2つで TBP の差が大きいが、有効 WGP数以上に、Game Clock では 571 MHz、Boost Clock では 494 MHz の差が要因になっていると思われる。
上 2つのページでは、動画エンコードと AV1デコードには非対応とされており、これはパッチでの情報と一致する。
だが現時点で RX 6300M/6500M は AV1デコードに対応と表記されており、信頼しきれない部分がある。
1080p でのゲーム性能において、RX 570 (Polaris19, 14nm) より高速であることがアピールされている。
トランジスタ数が、Polaris10 は 5.7 B、Beige Goby (Navi24) は 5.4 B とされており、微細化によるトランジスタ密度向上、ユニット数の増加ではなく、同程度のトランジスタ数ながらアーキテクチャの進化と倍以上にもなる動作クロックの向上によって RX 6500 XT は RX 570 以上の性能を達成している。
RX 6500 XT は GDDR6 18Gbps を採用しているが、メモリバス幅は 64-bit であり、RX 570 と比較してメモリ帯域は 64% 程度 (144 GB/s vs 224 GB/s) である。この点、Infinity Cache 16 MiB がかなり活きているように思う。
しかし、1080p より上の解像度や GPGPU 等においては 16 MiB ではカバーしきれず、最大 4GB というメモリサイズもあって、性能は低下すると考えられる。
RDNA 2 アーキテクチャ の中でも、ゲームに特化しているという特徴が濃く出ているようにも感じる。
RDNA 2 | Sienna Cichlid (Navi21) |
Navy Flounder (Navi22) |
Dimgrey Cavefish (Navi23) |
Beige Goby (Navi24) |
---|---|---|---|---|
Shader Engine | 4 | 2 | 2 | 1 ? |
WGP (CU) | 40 (80) | 20 (40) | 16 (32) | 8 (16) ? |
RB+ | 16 | 8 | 8 | 4 |
Memory Bus | 256-bit | 192-bit | 128-bit | 64-bit |
Infinity Cache | 128 MiB | 96 MiB | 32 MiB | 16 MiB |
Transistor | 26.8 B | 17.2 B | 11.1 B | 5.4 B |