Intel、Rocket Lake、Tiger Lake-H、Jasper Lake など新世代プロセッサを正式発表

Update: 2021/01/22 06:24 JST

今月 11日よりオンラインで開催されている CES2021 に合わせ、Intel は 3つの News Conference を開催した。
その中の「Do More with the Power of Computing」にて、新世代のプロセッサとなる Rocket Lake-S のさらなる発表、Jasper LakeTiger Lake-H の正式発表、そして Alder Lake-S の動作デモが披露された。

Index

Rocket Lake

Rocket Lake の概要は既に発表されていたが、IPC向上について具体的な数字が出され、そしてダイの画像が公開された。
Intel Rocket Lake-S の概要を発表 ―― Cypress Cove の詳細はまだ、AV1 HWエンコードには非対応 | Coelacanth's Dream

Rocket Lake-S はその前世代の Comet Lake (Skylake アーキテクチャ) と比較して、19% の IPC向上を果たしたとしている。
Ice Lake では 18% の向上とされていたが、1%の違いはさらなる最適化かそれとも計算方法の違いか。1
ちなみに、この前世代から 19% の IPC向上 というのは、AMD Zen 3 アーキテクチャ と同じ向上幅だったりする。2

今回 Rocket Lake-S の画像が公開されたことで、ずっと前より噂されていた MCM構造ではなく、CPU と GPU を統合したモノリシック構造であることが判明した。
CPU には 10nm で製造される Ice Lake を、GPU には 10nm SuperFin で製造される Tiger Lake と同じ Xe アーキテクチャ をそれぞれバックポートした異色の構成となる。

ダイの画像は、以下リンク先の PDF 19ページから確認できる。

Jasper Lake

教育市場向けにコードネーム Jasper Lake をベースとする Pentium Silver / Celeron SKU 計 6個が正式発表された。
Jasper Lake は CPUマイクロアーキテクチャに Tremont を採用し、Intel 10nm で製造される。
ここでの 10nm は Tiger Lake 等の SuperFin ではない、Ice Lake と同じ 10nm となる。

Jasper Lake Core CPU
base/boost clock
GPU EU GPU
base/boost clock
TDP
N6005 4 2.0/3.3 GHz 32 EU 400/900 MHz 10 W
N6000 4 1.1/3.3 GHz 32 EU 350/850 MHz 6 W
N5105 4 2.0/2.9 GHz 24 EU 450/800 MHz 10 W
N5100 4 1.1/2.8 GHz 24 EU 350/800 MHz 6 W
N4505 2 2.0/2.9 GHz 16 EU 450/750 MHz 10 W
N4500 2 1.1/2.8 GHz 16 EU 350/750 MHz 6 W

Jasper Lake のメモリインターフェイスは DDR4/LPDDR4x 128-bit に対応する。ただ LPDDR4x であってもメモリ速度は 2933MHz までの対応となる。
他 I/O には、USB 2.0 8ポート、USB 3.2 5Gbps 4ポート、USB 3.2 2ポート、SATA 6.0Gb/s 最大 2ポート、PCIe Gen3 8-Lane を備える。
ただし、SATA 2ポートと USB 3.2 5Gbps は PCIe Gen3 の一部と排他関係にある。

少し意外だったのは、Jasper Lake は PCH を搭載する点で、「Intel® Pentium® Silver and Intel® Celeron® Processors」 によると、PCH は 14nmプロセスで製造され、CPU と同じパッケージ上に搭載される。USB や PCIe 等は PCH から接続するようだ。
I/O も 1つのダイに収めず、CPU と PCH に分離したのは 10nmプロセスの製造能力と関係しているのだろうか?

画像出典: Intel® Pentium® Silver N6005 Processor (1.5M Cache, up to 3.30 GHz) Product Specifications

Jasper Lake Diagram

画像出典: Intel® Pentium® Silver N6005 Processor (1.5M Cache, up to 3.30 GHz) Product Specifications

CPUダイ自体は Elkhart Lake と同一で、PCH とパッケージを変えている可能性も考えられるが、Elkhart LakeJasper Lake で GNA (Gaussian mixture model and Neural network Acceleration unit) の世代が異なり、
Elkhart LakeIce LakeGemini Lake と同じ Gen1 だが、Jasper LakeTiger Lake と同じ Gen2 となる。

(追記)
言い換えれば、Jasper LakeElkhart Lake は GNA にしか違いが無く、GNA が実際には同じであればダイも同一である可能性が高い。
GNA Gen1 と Gen2 の違いは扱える最大レイヤー数しかないため、Gen2 を Gen1 として動作させることは可能なはず。
(追記終了)

Intel サイトのスペックシートには、1.5M Cache と Cache 4 MB の両方が記載されているが、これは L2キャッシュ 1.5MB、L3キャッシュ (LLC) 4MB の意で、Tremont アーキテクチャ では 4コアとそれらで共有する L2キャッシュでクラスタ (タイルとも呼ばれる) を構成する。
L2キャッシュは CPUコアのみが使用可能だが、L3キャッシュは GPU からも使用できるという違いがある。
気になる Jasper Lake のキャッシュ構成 ―― 【追記】 Snow Ridge と Elkhart Lake について訂正 | Coelacanth's Dream 同じく Tremont アーキテクチャ を採用する、サーバー向けの Snow Ridge 、組み込み向けの Elkhart Lake は搭載製品に応じて LLC の有効を選択可能となっていたが、一般モバイル向けとなる Jasper Lake は性能向上の目的もあり、デフォルトで有効化されるということなのだろう。

前世代の Atomプロセッサ、Gemini Lake との性能比較も公開されている。全ての項目で性能向上を果たしており、中でもグラフィクス性能が目覚ましく、3DMark Fire Strike で 78% の向上を見せている。
ただ TDP を示す PL1 は同じ 6W なのに対し、Pentium Silver N6000 の PL2 は 20W と、比較対象の Gemini Lake より 5W 高いのは少し気になる所かもしれない。

Alder Lake-S

Alder Lake が 2021年後半に登場することを再び語ると同時に、Windows OS の動作デモを披露し、開発が順調であることがアピールされた。
何となく、以前 10nmキャンセルの話に Intel が速攻で反応してから、次世代プロセッサの開発状況に対し若干オープンになったように思う。そういった気質なのかもしれないが、Raja Koduri 氏は Xe GPU のパッケージを Twitter で公開したりしている。

そして、Alder Lake が 10nm Enhanced SuperFin で製造されることが明言された。
10nm Enhanced SuperFin ではさらなるトランジスタの高速化、MIMキャパシタの改良が為されるとしている。

Alder Lake-S は PCIe Gen5 16-Lane を備えるか

今回の発表とは少しずれるが Alder Lake-S に関係した話として、PCIeレーンが Alder Lake-P のそれより増やされるというものがある。

先日、Coreboot のあるパッチに対するコメントで明かされた、Alder Lake-P は PCIe Gen5 8-Lane と PCIe Gen4 4-Lane x2 を備えるということを取り上げたが、
Alder Lake は PCIe Gen5 に対応、Tiger Lake-H は Gen4 20-Lane を備える | Coelacanth's Dream 関係したパッチのコメントにて、Alder Lake-S ではさらに PEG11 (PCI Express Graphics Interface) が追加されることが述べられた。

ADL-S has one extra PEG11, will add ADL-S later in year

PEG と PCIe RP (Root Port) の関係は、以下の引用部から、PCIe Gen4 4-Lane x2 には PEG60 と PEG62 が割り振られ、PCIe Gen5 8-Lane は PEG10 となっている。
割り振られた数字から追加される PEG11 は PCIe Gen5 に対応し、Alder Lake-S はデスクトップ向けとして GPU との接続を目的に PCIe Gen5 16-Lane を備えることが考えられる。

00:01.0 (pcie5) has 1 x8 port (pcie5 or lower)
00:06.0 (pci4_0) has 1 x4 port (pcie4 or lower)
00:06.2 (pci4_1) has 1 x4 port (pcie4 or lower)

RP1: PEG60 : 0:6:0 : CPU SSD1
RP2: PEG10 : 0:1:0 : x8 CPU Slot
RP3: PEG62 : 0:6:2 : CPU SSD2

Rocket Lake-S では利用可能な CPU側の PCIe が 20-Lane に増やされ、GPU (16-Lane) と NVMe SSD (4-Lane) とを直接接続できるようになったが、
Alder Lake-S ではさらに増えて 24-Lane となり、NVMe SSD をさらに搭載可能となる。

ただ 10nm Enhanced SuperFin でこの PCIeレーン数となると、ダイサイズへの影響がそれなりにあるだろうことが気掛かりだ。

Tiger Lake Tiger Lake-H Alder Lake-P Alder Lake-M Alder Lake-S
CPU side PCIe Gen4
4-Lane x2
Gen4
16-Lane + 4-Lane
Gen5 8-Lane
Gen4 4-Lane x2
? Gen5 8-Lane x2
Gen4 4-Lane x2
PCH TGP_LP TGP_H ADP_P TGP_LP? ADP_S
GithubDiscussionSource repoChangelog

関連記事
Intel Sapphire Rapids は AVX512_FP16 をサポート Alder Lake は PCIe Gen5 に対応、Tiger Lake-H は Gen4 20-Lane を備える Alder Lake-P を搭載する Chromebookボード 「Brya」、そして Alder Lake-M