Coelacanth's Dream

Intel Rocket Lake-S の概要を発表 ―― Cypress Cove の詳細はまだ、AV1 HWエンコードには非対応

Intel は現地時間 2020/10/29 付で、次世代デスクトップ向けプロセッサ Rocket Lake-S の概要を発表した。

CPUアーキテクチャは Cypress Cove と称された Ice Lake (Client) の機能を備えたものになり、二桁台 (10%〜) の IPC 向上を果たしている。
AVX-512 命令を用いた Intel Deep Leaning Boost / VNNI に対応し、HEDT向けの Skylake-SP を除けば、デスクトップ向けでは初の AVX-512 に対応したプロセッサとなる。
GPUアーキテクチャは Tiger Lake と同じ Gen12アーキテクチャ となり、Gen9アーキテクチャ と比較して 50% 高速だとしている。

I/O周りも強化され、PCIe Gen4に対応し、レーン数は GPU (x16) + SSD (x4) 直結の構成が可能となる 20レーンを備える。
メモリは DDR4-3200 に対応する。

対応チップセットには 500シリーズが新たに投入される。

テストに使われた Rocket Lake-S は 8-Core/16-Thread、動作クロックは不明で、PL (Power Limit) の仕様は i9-10900K (Comet Lake-S) に合わされており、PL1: 125W、PL2: 250W、Tau 56s というもの。

詳細ではなく概要

今回 Rocket Lake-S の明かされなかった点は、まず製造プロセスが何nmであるか (14nmか 10nmか)、Ice Lake (Client) と同機能としておきながら Sunny Cove ではなく新たに Cypress Cove と称すのは何故か。

これまでの情報で、Rocket Lake-S のキャッシュ構成が Ice Lake (Client) と同じことが判明しているため1、実行ユニット周りに Sunny Cove から変更が施されているのではないかと思われるが、これにはややこしい話がある。

Sunny CoveIce Lake (Client), Ice Lake (Server) に採用されているが、両者のコアアーキテクチャは全く同じではなく、AVX-512 命令を処理するユニットに細かな違いが存在する。
Ice Lake (Client) は AVX-512 を、対応した実行ポート 1本で処理するが、Ice Lake (Server) はそれに加え、他 2本の実行ポートを束ねて実行することが可能となっている。2
Lakefield にも Sunny Cove コアは搭載されているが、スケジューリングの問題か、AVX 系命令の対応は無効化されている。
また、Ice Lake (Server) では Ice Lake (Client) よりも Re-order Buffer が若干増量されているという話もある。

そのため、どこまでが Sunny Cove で、どこから Crypress Cove であるか、というのは曖昧な話である。
Ice Lake (Client/Server), Lakefield は全て Intel 10(+)nm プロセスで製造されているため、
単に Intel 10nmプロセスで製造されれば Sunny Cove で、14nmプロセスならば Crypress Cove 、といったマーケティング的な意味合いも考えられる。
そうなると Rocket Lake-S は 14nmで製造されているとなるが、それを明言しなかったあたり、Intel 的にはまだ新しい部分だけを推していきたいのかもしれない。

AV1 HWエンコードは非対応?

AV1 HWエンコードに関しては、各メディアが資料中から抜粋した画像には 4K60 10b 4:2:0 AV1 でのエンコードに対応するように記述されており3、自分も最初資料を見た時はそのようになっていたと記憶している。
だが後になってから再度資料をダウンロードすると、メディア部の記述が変更されており、デコーダー/エンコーダーに分けられ、エンコーダーに AV1 は無い。
intel/media-driver のコードを見ても AV1 Hwエンコードには対応してないように読め4、GPU部が同じ Tiger Lake 発表時にも AV1 HWエンコード対応は謳われなかった。
Hot Chips 32 にて行なわれた Xe-LPアーキテクチャ の発表でも、AV1 HWデコードだけがスライドに記載されている。5

そのため、実際は Rocket Lake-S GPU部は AV1 HWエンコードに対応していない、ということに思われるが、Intel は各メディアに通知していないのだろうか?


  1. Intel Rocket Lake のキャッシュ構成は Ice Lake と同様か & 推測 | Coelacanth’s Dream ↩︎

  2. Intel Rocket Lake は AVX-512 をサポート & 推測 | Coelacanth’s Dream ↩︎

  3. Intel、デスクトップ向け第11世代Core「Rocket Lake-S」の詳細を発表 ~CPUはIPCを大幅向上させたCypress Cove、GPUにXe Graphicsを採用 - PC Watch
    ASCII.jp:Rocket Lake-S概要発表!Xe LP&PCIe 4.0×20、IPCは10%以上GPU性能は50%向上 ↩︎

  4. media-driver/media_libva_caps_g12.cpp at d934d6c48644227ab066d013a105335ad25ce2bc · intel/media-driver ↩︎

  5. Hot Chips 2020 Live Blog: Intel’s Xe GPU Architecture (5:30pm PT) ↩︎