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Alder Lake-P は PCIe Gen5 に対応
Coreboot の Alder Lake-P サポートに向けたあるパッチが投稿され、そのコメントスレッドの中で、Alder Lake-P は PCIe Gen5 に対応、8-Lane 1ポート を備えることが分かった。
それに加えて PCIe Gen4 4-Lane も 2ポート備える。
in the EDS, I see: "The ADL-P processor PCI Express* has two interfaces: • One 8-lane (x8) port supporting PCIE to gen 5.0 or below. • Two 4-lane (x4) port supporting PCIE gen 4.0 or below"
当初、google.com と chromium.org とでメールアドレスが分かれてはいるが
同じ資料を所持しているはずの開発者間で、その情報はどこにあるのか、といったやり取りがあり、若干怪しい情報となっていたが、
その後、その質問をした開発者の方が EDS (External Design Specification) で確認できたとコメントし、確かな情報となった次第だ。
警戒しすぎと思われるかもしれないが、過去に WikiChip を引き合いに、Raven2/Dali の CPU部が Zen 2 アーキテクチャ だとしてパッチが投稿されたことがあったためだ。1
Alder Lake-P はモバイル向けとされ2、CPU側で PCIe Gen5 8-Lane x1、PCIe Gen4 4-Lane x2 というのは些か過剰に思えなくもない。
現行世代のモバイル向け Tiger Lake は、CPU側で PCIe Gen4 4-Lane の規模となる。
Tiger Lake は、実際は PCIe Gen4 4-Lane x2 を持つが、UP3/UP4パッケージでは 1ポートが予約分とされ、使用できないようになっている。3
PCIe Gen5 8-Lane の目的を考えると、4-Lane x2 のような分割に対応せず、かつ NVMe SSD 向けに最大 4-Lane としなかったことから、dGPU も想定したもの、というのが浮かぶ。
一応、分割に対応しないと言っても使い切れないだけで、NVMe SSD 4-Lane を接続することはできる。
2021年が始まったばかりなのに、こんな事を言うのはどこか少し気が引けるが、Alder Lake (-S と -P のどちらかは不明) は 2021年後半に市場へ投入される予定にある。
サーバー向けである Sapphire Rapids も同時期に出荷予定とされ、Sapphire Rapids は PCIe Gen5 をベースとする CXL (Compute Express Link) に対応し、スーパーコンピューター Aurora は CXL で構築される。
厳密に言うと、Aurora に用いられるのは、これまた CXL をベースとした Xe Link だが、ややこしい。
そのため Xe-HPC もまた PCIe Gen5/CXL に対応しており、同時期に登場する他の Intel dGPU も PCIe Gen5 に対応している可能性がある。あくまで可能性。
現在 Intel dGPU では Xe-LP をベースとする Iris Xe MAX がリリースされているが、1080p をターゲットとした製品であり、性能としてはエントリー帯にある。
ハイエンドモバイルのような、ゲーミング性能では 1080p よりも上の解像度をターゲットとしたプラットフォームを、Alder Lake-P と dGPU 時期と性能を考えれば Xe-HPG が該当するかもしれないが
で構築することが計画されているのかもしれない。
Alder Lake-P と Alder Lake-M の差別化において、PCIe Gen5 8-Lane の有効無効が使われる可能性も考えられる。
Tiger Lake-H は PCIe Gen4 20-Lane を備える
Tiger Lake-H の各ログがアップロードされたことは以前取り上げたが、その時見落としているものがあった。
Tiger Lake-H のブートログ、lscpu、lspci …… | Coelacanth’s Dream
実は lspci は root権限で実行されたもので、通常よりも多くの情報が出力されていた。
そして、そこから Tiger Lake-H の持つ PCIe Gen4 のレーン数を知ることができた。
00:01.0 PCI bridge [0604]: Intel Corporation Device [8086:9a01] (rev 04) (prog-if 00 [Normal decode]) ~~~~~~ DevSta: CorrErr- NonFatalErr- FatalErr- UnsupReq- AuxPwr+ TransPend- LnkCap: Port #2, Speed 16GT/s, Width x16, ASPM L1, Exit Latency L1 <16us ClockPM- Surprise- LLActRep+ BwNot+ ASPMOptComp+
00:01.1 PCI bridge [0604]: Intel Corporation Device [8086:9a05] (rev 04) (prog-if 00 [Normal decode]) ~~~~~~ LnkCap: Port #3, Speed 16GT/s, Width x4, ASPM L1, Exit Latency L1 <16us ClockPM- Surprise- LLActRep+ BwNot+ ASPMOptComp+
注目したいのは LnkCap
の行。Speed はリンクスピードの意で、PCIe Gen4 は 16GT/s と表示される。4
Width はリンク数で、以上のことから Tiger Lake-H は PCIe Gen4 16-Lane と 4-Lane のポートを持ち、計 20-Lane を備えることが分かる。
Alder Lake-P の所でも触れたが、モバイル向けの Tiger Lake_L は PCIe Gen4 4-Lane x2 を持つが、UP3/UP4パッケージでは PCIe Gen4 4-Lane x1 に制限され、もう 1つのポートは予約分とされていた。3
Tiger Lake-H の PCIe Gen4 16-Lane は dGPU用だとして、4-Lane のポートが NVMe SSD用と思われるが、Tiger Lake UP3/UP4 とは異なり解放されるかは不明。
また、デスクトップ向け Rocket Lake-S も PCIe Gen4 x16 + x4 を持ち、Tiger Lake-H はそれと同規模の PCIeレーン数を備えることとなる。
PCH は、 DeviceID を TGP_LP のものと照らし合わせたが一致しなかったため、Tiger Lake-H 用の PCH と思われる。
Tiger Lake-H と直接の関係は無いが、同 lspci のログによると dGPU に NVIDIA GPU (DeviceID: 0x24b8) が接続されていた。
自分が NVIDIA GPU に詳しくないというのもあるが、DeviceID を The PCI ID Repository で調べても出てこなかった。5
オーディオコントローラーの DeviceID はあり、Geforce RTX 3070 等に採用されている GA104 のものと一致したため (DeviceID: 0x228b)、GA104 ベースの GPU だと思われはするが。
CPU だけでなく、GPU もエンジニアサンプリング品だったのだろうか?
Tiger Lake | Tiger Lake-H | Alder Lake-P | Alder Lake-M | |
---|---|---|---|---|
CPU side PCIe | Gen4 4-Lane x2 |
Gen4 16-Lane + 4-Lane |
Gen5 8-Lane Gen4 4-Lane x2 |
? |
PCH | TGP_LP | TGP_H | ADP_P | TGP_LP? |
参考リンク
-
Alder Lake-P を搭載する Chromebookボード 「Brya」、そして Alder Lake-M | Coelacanth’s Dream ↩︎
-
11th Generation Intel® Core™ Processor (UP3 and UP4) Datasheet, Volume 1 of 2
Intel® Core™ i7-1185G7 Processor (12M Cache, up to 4.80 GHz, with IPU) Product Specifications ↩︎ ↩︎ -
PCI: Add decoding for 16 GT/s link speed · torvalds/linux@1acfb9b ↩︎