LLVM に旧世代の AMD GPU に向けた GPUID が追加される

AMD GPU のコンパイラバックエンドとして用いられる LLVM に、現行よりも二世代から四世代前の GPUID を一部整理するためのパッチが投稿された。製品が出た年で言えば、4〜7年前の AMD GPU が対象となる。(R7 250 は1スロットLPカードとして需要があるのか未だに出てきたりするが。)

これまではある GPU の GPUID を、細かな違いを無視して他の GPUID とまとめて認識、コンパイラバックエンドとして最適化処理を行なっていたが、無視することをやめ、細かな違いを区別するため GPUID を追加、GPU の割り当てを行なったのが今回のパッチとなる。
追加された GPUID は、gfx602, gfx705, gfx805
[AMDGPU] Add gfx602, gfx705, gfx805 targets · llvm/llvm-project@666ef0d
Add new targets for a few cases in old hardware by trenouf · Pull Request #994 · GPUOpen-Drivers/llpc

GPUID については以下を参照。
AMD GPU の GPU ID は何を意味するか | Coelacanth’s Dream

gfx602 (Oland, Hainan)gfx601 (Pitcairn, Verde) と区別した理由は、これまでシェーダーコンパイラのフロントエンド部で GFX6 世代に存在する shaderZExport 機能の問題に対処していたが、gfx602 (Oland, Hainan) ではそれが必要ないからとしている。

gfx805 は、Tonga (gfx802) のワークステーション向けバリアント TongaPro の GPUID となり、倍精度シフト演算が Tonga よりも速く処理できるとしている。
ただ、今回のパッチは gfx805 の区別とターゲット追加のみであり、その倍精度シフト演算の処理フローは実装されていない。

そして謎なのが gfx705 であり、gfx703 と区別した理由は gfx602 のように、shaderSpiCsRegAllocFragmentation 機能に関する回避策が必要ないからとしているが、その gfx705 が何の GPU に採用されているかは不明である。記述から APU とされてはいる。1
前世代のアーキテクチャを採りながらその正体が不明な APU には Cato APU がいるが、それだったりするのだろうか。

それにしても発端であり、Cato APU をベースとする A9-9820 を搭載するミニPC、AeroBox は 2020/03 に発表されて以降、発売開始の音沙汰が特に無いが、今どこにいるのだろう。

Update:
 2020/10/12 06:58 JST