AMD、Navi14ベース、メモリ 3GB の RX 5300 を製品に追加

AMD は TSMC 7nm プロセスで製造される Navi14 をベースとした、Radeon RX 5300 を製品モデルにこっそり追加した。
AMD Radeon™ RX 5300 Graphics | AMD

有効 WGP(CU)数は 11(22)基、Game Clock は 1448MHz、Boost Clock は 1645MHz と、コア部は既存のモバイル向けである RX 5500M と一致するが、
メモリは 1チップ減らされ、メモリバス幅 96-bit、メモリ帯域は 168GB/s、メモリ容量 3GB となっている。
TDP も RX 5300 は 100W であり、補助電源 恐らく 1x 6-pin を必要とする。

競合との比較では NVIDIA GTX 1650 の OCモデルをあげており、RX 5300 はそれよりも高速としている。
だが、NVIDIA GTX 1650 には GDDR5 と GDDR6 で異なるメモリ仕様が存在し、比較対象がどちらかは明らかでない。

価格もまた不明だが、現時点の日本 Amazon では RX 5500 XT 4GB が安い方で ¥20,000 前後であるため、それより少し低い程度になるのではないかと思う。個人的な予想価格は販売当初で ¥18,500 〜 ¥19,000 。

(追記)
AMD のページタイトルが変更され、AMD Radeon™ RX 5300 Graphics for Preconfigured Systems | AMD というものになった。
for Preconfigured Systems から OEM向けとされる。
残念。
(追記終了)

補助電源無し Radeon は更新されないのか

補助電源を必要としない TDP 75W 以下の Radeon は 14nm で製造される Polaris11、Polaris12 ベースの製品から更新されていない。具体的な製品には、RX 560RX 550 があるが、それらが追加されたのは 2017年であり、もう 3年近く更新されていないことになる。
そして、RX 560価格.com で確認した限りでは、現在どこも取り扱っておらず、最も新しい世代で、かつ補助電源不要のカードは RX 550 のみだ。
個人的には、Navi14 ベースの製品で更新されることを期待していたが、RX 5300 でそれは叶わなかった。
そのこと自体は多少残念には思うが、そう悲観することでもないとも思う。

以前も書いたが、Navi14 の製造コストは RX 570/580 等のベースとなる Polaris10 よりもコストが高いと考えられ、Polaris11 /Polaris12 と比較すれば倍近くのコストだろう。
それならば、消費電力を重視するようなターゲット帯は APU と RX 550 でカバーし、Navi14 ではクロックと消費電力を引き上げ、それより上の性能帯をカバーする方が良い。
日本 Amazon での価格も、RX 550 4GB は 約 ¥9,000 〜 ¥10,000、RX 5500 XT 4GB は約 ¥20,000 〜 ¥ 23,000 と、性能よりも製造コストに価格が沿っているように見える。
言い換えると、性能で考えれば RX 5300 /5500 XT はお買い得ではないだろうか。

下の表にあるように、Navi14 は TDP が Polaris11/12 の倍近いものとなっているが、クロックの向上とアーキテクチャの改良により、3倍以上の性能を達成している。
様々な制約により、プロセス技術においてはコスト、消費電力が以前ほど下がらなくなったが、製品化における工夫により、コストパフォーマンスは向上している。
メディア部の世代が進んだことにより使い勝手も良くなっている。主に Youtube で用いられる VP9コーディックの HWデコード対応は大きいだろう。

TBP が 65W とされている RX 5300M 相当までにクロックを下げれば補助電源無しのカードとすることが可能かもしれないが、消費電力のために性能を下げることは大きな競争力を失うことを意味する。
それを自作PC市場に出したとして、それはコストが割に合わないものとなるだろう。

RX 550 RX 5300 RX 5500 XT
GPU Polaris12 Navi14 Navi14
CU 8 22 22
TMU 32 88 88
ROP 16? 32 32
Peak Clock
(MHz)
1183 1645 1845
FP16 (FLOPS) 1.2 9.26 10.38
FP32 (FLOPS) 1.2 4.63 5.19
TDP 50W 100W 150W

省電力、補助電源無し好きの人にとっては残念かもしれないが、そう悲観することではない。
絶対的な消費電力は下がらなくなったが、相対的なワットパフォーマンス、コストパフォーマンスは向上している。
どうしても省電力を求めたいのであれば、dGPU に代わり APU が性能をどんどん上げてきている。
メモリ帯域と、それに深く関わるグラフィクス性能では劣るが、CU 6基の Ryzen 3 PRO 4350G でもピーク性能では RX 550 を追い越している。グラフィクス性能も遠からず追い越すだろう。
追い越すまで行かなくとも、APU の GPU性能で足りる用途も多い。

省電力マシンの GPU は APU 内蔵のもので十分な時代となった。
そうした道を往くべきなのだろう。

Navi14 Product RX 5300M RX 5300 Pro 5300M RX 5500M Pro 5500M RX 5500 Pro W5500M RX 5500 XT Pro W5500
WGPs (CUs) 11 (22) 10 (20) 11 (22) 12 (24) 11 (22)
SPs 1408 1280 1408 1536 1408
TMUs 88 80 88 96 88
ROPs 32
Game Clock (MHz) 1181 1448 ? 1448 ? 1670 ? 1717 ?
Boost Clock (MHz) 1445 1645 1250 1645 1300 1845 1700 1845 1900
Max Memory Size 3 GB 4 GB 8 GB 4 GB 8 GB
Memory Interface (bit) 96 128
Memory Bandwidth (GB/s) 168 192 224 192 224
Peak Texture Fill-Rate (GT/s) 127.2 144.8 100.0 144.8 114.4 162.4 149.6 162.4 167.2
Peak Pixel Fill-Rate (GP/s) 46.2 52.6 40.0 52.6 41.6 59.0 54.4 59.0 60.8
FP16 (TFLOPS) 8.14 9.26 6.40 9.26 7.98 10.38 9.58 10.38 10.70
FP32 (TFLOPS) 4.07 4.63 3.20 4.63 3.99 5.19 4.79 5.19 5.35
TBP (W) 65 100 50 85 50 110 85 130 125
Update:
 2020/09/01 23:59 JST