これまでにもCPUやGPUといったチップの赤外線写真、ダイショットを撮影、パブリック・ドメインで公開してきた Fritzchens Fritz | Flickr 氏が、
14nmプロセスで製造される AMD の低コスト省電力な APU、Raven2 のダイショットを公開した。
AMD@14nm@Zen@Dali@Athlon_3000G@YD3000C6M20FH_A0_2002PGT___… | Flickr
氏の測定では、Raven2 のダイサイズは 148.55mm2。
以前、FP5 パッケージ から大体の大きさを割り出したことがあったが、それよりももう少し小さかったようだ。
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Raven2 推測
まず、AMD の資料1 やオープンソースコード2 から判明している Raven2 の規模は以下のようになっている。
- CPU: 2-Core/4-Thread, L3cache 4MB
- GPU: 1-ShaderEngine, 3CU, 1RB(Render Backend), L2cache 2基(512KB)
- Display Controller 3基
- USB-C 10Gbps 2ポート(DisplayPort-Altmode は 1ポートのみ), USB2 6ポート
- SATA 最大 2レーン
わかりやすいものだけ区分け、色付けをしてある。

Raven2
Die Size: 148.55mm2
画像元: AMD@14nm@Zen@Dali@Athlon_3000G@YD3000C6M20FH_A0_2002PGT___… | Flickr
CPU部は特にわかりやすく、2-Core に対し、RavenRidge や Renoir と同容量である L3cache 4MB が付いている。
ダイエリアとしては、Zen 2-Core と L3cache 4MB がほぼ同じ面積であり、こうして見ると Zen アーキテクチャ が小規模であるように見えてしまう。
GPU部は、CU は 3基、L1K/L1I Cache は 1基で、他の GFX9 系同様に CU 3基で共有する構成を取っている。その点で言えば、Raven2 の GPU部は GFX9 系で可能な最小規模であるかもしれない。
ACE /Rasterizer /Geometry /RenderBackend 部は正直適当。RenderBackend も 1基のみであるため、自分には判別が付かない。
次にわかりやすいのは Display PHY(物理層) だろうか。他の AMDGPU と似た形をしている。左端下に 2基が固まっており、中央下の右寄りに PCIe PHY 等と組み合わされた Display PHY が 1基ある。恐らくそれが DisplayPort-Altmode に対応した部分なのだろう。1ポートのみというのにも一致する。
さらにその右にある 6基の PHY が USB PHY であり、USB2 6ポートという話と一致する。
それっぽいけどイマイチ確信が持てないのが中央付近の Display Controller 3基であり、Display PHY の個数に対応している。RavenRidge も同じような位置に 4基存在し、そちらも Display PHY に対応している。
Zen系 APU 比較

L: RavenRidge / C: Raven2 / R: Renoir
画像元: AMD@14nm@Zen(Zeppelin)@Raven_Ridge@Ryzen_3_2200G@YD2200C5M… | Flickr
AMD@14nm@Zen@Dali@Athlon_3000G@YD3000C6M20FH_A0_2002PGT___… | Flickr
AMD@7nm@Zen2@Renoir@Ryzen_3_4300U@100-000000085_9JB4977P00… | Flickr
CPU Core、CPU L3$ (4MB)、GPU CU は自分が画像から割り出したものであり、誤差が含まれることを留意していただきたい。
RavenRidge | Raven2 | Renoir | |
---|---|---|---|
Process | 14nm | 14nm | 7nm |
Die Size | 208.84mm2 | 148.55mm2 | 155.01.mm2 |
CPU Arch | Zen | Zen | Zen 2 |
CPU Core Area (non include L2$) |
5.18mm2 | 5.18mm2 | 2.73mm2 |
CPU Core | 4-Core | 2-Core | 8-Core |
Total CPU L3$ | 4MB | 4MB | 8MB |
L3$ (4MB) Area | 10.91mm2 | 10.91mm2 | 5.39mm2 |
GPU Arch | gfx902 | gfx909 | gfx909 |
GPU CU | 11CU | 3CU | 8CU |
GPU CU Area | 3.79mm2 | 3.96mm2 | 1.68mm2 |
GPU RB | 2RB | 1RB | 2RB |
GPU L2$ | 1024KB | 128KB |
1024KB |
DDR4 128-bit PHY Area | 16.50mm2 | 16.50mm2 | 15.74mm2 |
以前のバージョンにて、Renoir の CPU Core Area の値を間違えていたことをここにお詫び致します。
以前は 2.37mm2と表記していましたが、2.73mm2 が正しい値となります。
GPUアーキテクチャとしては gfx902 と gfx909 の間に違いはあまり存在しないが、Raven2 GPU CU のダイ面積が同じプロセスの RavenRidge から微増している。
理由としては 3CU で共有する L1K/L1I Cache 部が考えられ、何でか少し縦に伸びている。
ただ、測定誤差の分が理由として大きいだろう。
Renoir は CPU Core、CPU L3$ (4MB)、GPU CU のダイ面積すべてで RavenRidge、Raven2 から半分近い面積を達成している。
TSMC 7nm の効力だけでなく、AMD の設計における努力が窺える。
Renoir と他 2つの違いには、LPDDR4xメモリの対応があげられる。
DDR4 128-bit PHY のダイ面積を測定してみたところ、CPU Core等ほどは小さくなっておらず、やはり I/O の物理層は微細化効果が効きにくいと思わせるが、同時に LPDDR4 対応によるダイ面積への影響はさほどないことがわかる。
それと、Display PHY の形状、配線が大きく異なるように見えたが、これは Renoir で Navi1x と同世代の DCN2.1 となり、DSC に対応したことが影響していると思われる。
AMD Renoir のダイ観察 & 推測 | Coelacanth’s Dream