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AMD、モバイル向け Ryzen 7000 シリーズを正式発表

AMD は 2023/01/04 付、CES 2023 にてモバイル向け Ryzen 7000 シリーズを正式発表した。

モバイル向け Ryzen 7000 シリーズは複数のセグメントで構成されており、基本的にそれぞれ別のシリコンダイをベースとしている。
Ryzen 7045HX シリーズは Dragon Range (Zen 4, RDNA 2, 5nm + 6nm)、 Ryzen 7040/HS シリーズは Phoenix (Zen 4, RDNA 3, 4nm)、 Ryzen 7035 シリーズは Rembrandt-R (Zen 3+, RDNA 2, 6nm)、 Ryzen 7030 シリーズは Barcelo-R (Zen 3, Vega, 7nm) ベースとなっている。

Dragon Range

Dragon Range はチップレット構成であり、CCD と IOD のダイサイズがデスクトップ向け Ryzen 7000 シリーズ、Raphael と一致することから、Raphael を TDP 55-75W に抑えたモデルと考えていいだろう。
Dragon Range の CPU ソケット、パッケージは Raphael の AM5 と異なり、FL1 とされている。

以前、AMDGPU ドライバーに GC 11.0.4 APU のサポートを追加するパッチが投稿された際、それが Dragon Range に向けたものではないかと推測したが、実際は異なり、Dragon Range の GPU 部は RDNA 2 アーキテクチャ となっている。1
GC 11.0.4Phoenix APU (GC 11.0.3) のリビジョン違いか、今回の CES 2023 では発表されなかった APU を指すのだろう。

Phoenix

まずニュースリリースでは Ryzen 7040HS シリーズの最大合計キャッシュサイズが 40MB、SKU ごとのページでは 24MB (8x L2 1MB + L3 16MB)、各ニュースサイトで公開されているメディア向け資料では 20MB となっており統一されていない。
おそらく SKU ごとのページの 24MB (8x L2 1MB + L3 16MB) が正しいキャッシュサイズと思われるが、確証が得られない。

Phoenix の GPU部は RDNA 3 アーキテクチャ となり、CU 数は最大 12基。
Radeon 780M は GPUクロック 2900/3000MHz、CU 数 12基、 Radeon 760M は GPUクロック 2800MHz、CU 数 8基の構成となっている。 GPU キャッシュサイズや RB (RenderBackend) 数等の規模は公開されていない。

ダイサイズは公称 178mm2。CPU と GPU 共にアーキテクチャが更新され、Ryzen AI と呼ぶ AI エンジンが追加されたが、TSMC 4nmプロセスの採用により、(実際の製造コストはともかく) Rembrandt より小さいダイサイズに収まっている。

AMD APU Die Size Process
Renoir/Lucienne 156mm^2 7nm
Cezanne/Barcelo 180mm^2 7nm
Rembrandt 210mm^2 6nm
Mendocino 100mm^2 6nm
Phoenix 178mm^2 4nm

Rembrandt-R

Rembrandt ベースの Ryzen 6000 シリーズと Rembrandt-R ベースの Ryzen 7035 シリーズで異なるのは、同コア同 TDP で比較したときに一部モデルのブーストクロックが若干 (+50MHz) 向上しているくらいで、大きな違いはない。

Ryzen 6000 シリーズには無かった 4-Core/8-Thread の SKU が、Ryzen 7035 シリーズでは Ryzen 3 7335U として追加されている。
Rembrandt/-R の最大構成から、CPU と L3キャッシュを半分無効化し、GPU CU 数を 4基に減らした SKU となる。
これまでは Radeon 660M のモデル名は Rembrandt ベースの GPUクロック 1800MHz、GPU CU数 6基の構成に割り当てられていたが、それより小規模の Ryzen 3 7335U の GPU部にも割り当てられており、APU に GPUモデル名を導入した意義が薄れているように思う。