AMD の Yifan Zhang 氏により、Linux Kernel における AMDGPU ドライバーに GC 11.0.1 (gfx1103, Phoenix APU) に続く RDNA 3 APU IP、GC 11.0.4 のサポートを追加するパッチが投稿されている。
case IP_VERSION(11, 0, 1): + case IP_VERSION(11, 0, 4): adev->flags |= AMD_IS_APU; break;
GC (Graphics Compute) IP ver | GFX ID | AMDGPU_FAMILY | Type |
---|---|---|---|
11.0.0 | gfx1100 (Navi31)1 | AMDGPU_FAMILY_GC_11_0_0 (FAMILY_GFX1100) | dGPU |
11.0.1 | gfx1103 (Phoenix) | AMDGPU_FAMILY_GC_11_0_1 (FAMILY_GFX1103) | APU |
11.0.2 | gfx1102 (Navi33) | AMDGPU_FAMILY_GC_11_0_0 (FAMILY_GFX1100) | dGPU |
11.0.3? | gfx1101 (Navi32)? | AMDGPU_FAMILY_GC_11_0_0 (FAMILY_GFX1100)? | dGPU |
11.0.4 | gfx1103? | AMDGPU_FAMILY_GC_11_0_1 (FAMILY_GFX1103) | APU |
GC 11.0.4 は現時点では基本 GC 11.0.1 と共通したコードパスを用いており、AMDGPUファミリーには AMDGPU_FAMILY_GC_11_0_1
、GPU ID には gfx1103 が設定されている。
補足すると、GPU ID は主にコンパイラやライブラリが機能の有無等を判定するために用いられるため、複数の AMD GPU に同じ GPU ID が割り当てられることもあれば、必要に応じて別の GPU ID が割り当てられることもある。
同時に SMU IP v13.0.11 と PSP IP v13.0.11 をサポートするパッチも投稿されているが、異なるのはレジスタのオフセット値などで、他 IP バージョンとの機能的な違いは今の所見られない。
case IP_VERSION(11, 0, 1): + case IP_VERSION(11, 0, 4): adev->family = AMDGPU_FAMILY_GC_11_0_1; break;
case IP_VERSION(11, 0, 1): + case IP_VERSION(11, 0, 4): gfx_target_version = 110003; f2g = &gfx_v11_kfd2kgd; break;
AMD は 2023年のモバイル向けプロセッサに、Ryzen 7040 Series として Phoenix APU を、Ryzen 7045 Series に Dragon Range APU を投入することを発表している。2
今回パッチが投稿された GC 11.0.4 はその Dragon Range APU の GPU IP という可能性が考えられる。
というより現時点で AMD が公式に発表しているロードマップの中で当てはまりそうなのが Dragon Range APU くらししかない、と言った方が正確だろう。
Phoenix APU は TDP 35-45W、モバイル用途と薄型ゲーミング PC 向け、Dragon Range は TDP 55W+、最高の性能を求めるゲーミング PC 向けという位置付けになっている。
メモリは Phoenix APU が LPDDR5 メモリをサポートし、Dragon Range APU は DDR5 メモリをサポートするとしている。
それぞれの CPU/GPU の規模はまだ発表されておらず、当然 AMDGPU ドライバーのソースコードから読み取れるものではないが、ターゲット帯と TDP 帯の違いから、Phoenix APU と Dragon Range APU の CPU/GPU アーキテクチャは共通するが規模は異なることが考えられる。