AMD の AIB (Add-in-Board) パートナーである Sapphire よりブロックチェーン、GPUコンピューティング向けにファンレス RDNA GPU、GPRO X070 8GB GDDR6 がリリースされていた。
GPUスペックは RX 5700 XT (Navi10) をベースとしており、WGP 20基 (CU 40基)、GDDR6メモリ、メモリバス幅 256-bit、メモリ速度 14Gbps となっている。
補助電源には 8-pin + 6-pin を必要とする。
BIOS/UEFI クロックテーブル
は 2種類あり、Default Mode ではリファレンスと同じ仕様だが、もう一つの効率を重視した Efficiency Mode では、Boost Clock: 1750MHz、Game Clock: 1700MHz、Base Clock: 1500MHz と若干低めに設定されている。
冷却には、ファンを搭載しないパッシブクーリングを採用している。
さらにブロックチェーン向けであるが、映像出力が 4本実装されており (1x HDMI, 3x DP)、一般用途においても問題無く使えるカードとなっている。
そういった市場に出すかはびみょうだが、ファンレスモデルは GPUカードの中で故障しやすい可動部であるファンを搭載していないため、信頼性は高いという点や、小型ファンがないため、静粛性に優れるという特徴がある。
2スロットであるから普通のケースにも搭載でき、需要自体はあるように思われる。
IPC-EP3000-SPH に GPRO X070 を 10基搭載したブロックチェーンサーバー INCA EP-10 もリリースされている。
SoC には組み込み向けである AMD EPYC™ Embedded 3251 (8-Core/16-Thread) が採用されており、GPRO X070 10基はそれぞれ PCIe Gen3 8-Lane で接続されている。
ただ EPYC 3251 が備えている PCIeインターフェイスは、PCIe Gen3 32-Lane までであるから、スイッチを経由して接続しているのかもしれない。1
EPYC 3251 は TDP 55W と低く、GPUを中心としたサーバーを構成するのに適していると考えられ、調べた所、AMD が Radeon ProRender 2.0 の GPUスケーリンク性能を検証するのにも用いられていた。2
以前、Linux Kernel (amd-gfx) に Navi10 のブロックチェーン向け SKU をサポートするパッチが投稿されていたが、その 1つが GPRO X070 かどうかは不明。
ブロックチェーン向けの Navi10 SKU とそこから読める文脈 | Coelacanth’s Dream
映像出力が実装されていることから、既存のカードのクーラーを換えたモデルなのかもしれない。
ただこうしたブロックチェーン向けのモデルを Sapphire が用意したコンテクストは一緒だろう。
余談だが、TSMC の 7nmプロセスは Zen 2/3 CPU 、Renoir/Lucienne/Cezanne APU 、 RDNA/2 GPU 、 MI100 GPU 、 PS5 SoC 、XSX/S SoC 、NVIDIA A100 GPU ……等、多くのプロセッサが採用しており、
それらが、パッケージに使われる材料の供給不足により生産が遅れているという話が出ている。3
そんな中でビットコインを始めとした仮想通貨の価格が上昇してきた。
ビットコインは専用ASIC によるマイニングが主流になったが、イーサリウムは ASIC耐性があることから、マイニングには GPU が使われる。
最新の CPU/GPU、ゲーム機を求める人にとってはまだしばらく辛い状況となりそうだ。