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Intel、モバイル向け dGPU 「Iris Xe Max」 を正式発表

Intel は現地時間 2020/10/31 付で、Xe-LP /Gen12LPアーキテクチャ を採用するモバイル向け dGPU Iris Xe MAX を正式発表した。

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DG1 について

Xe-LP /Gen12LPアーキテクチャ の dGPU には、ソフトウェア開発者向けの DG1 SDV 、サーバー向けの SG1 、今回発表されたモバイル向けの Iris Xe MAX がいるが、これらは同一のダイをベースにしていると認識している。
Intel は SG1 1Iris Xe MAX のパッケージとそれに搭載されるダイの画像を公開しており、SG1 の方は画質が荒いが 両方共同じであるように見える。
このサイトでは、Iris Xe MAX らのベースとなるダイを DG1 としている。

Iris Xe MAX 詳細

Iris Xe MAXTiger Lake と同じ Intel 10nm SuperFinプロセスで製造される。
メモリインターフェイスは LPDDR4x-4266 128-bit に対応し、ピークメモリ帯域は 68 GB/s。
EU数は Tiger Lake GT2 と同じ 96基。動作クロックは Core i7-1185G7 の iGPU より 300MHz 高い 1.65GHz となる。

TDP、消費電力は不明だが、Tiger Lake (CPU+GPU)Iris Xe MAX (dGPU) を合わせた消費電力枠を、その時のワークロードによって適した側に多く割り当てることで、より効率良く処理を行なう Dynamic Power Share に対応する。
Dynamic Power Share についてすっかり言ってしまうなら、Intel版 AMD SmartShift である。
Tiger Lake と組み合わせた機能には他に、AI処理、メディアのエンコード処理の高速化に対応する。

また、Iris Xe MAX は PCIe Gen4 に対応し、Tiger Lake-U/UP3 とは PCIe Gen4 x4 で接続される。
ただ、ベースとする GPUチップ/ダイが共通であろう DG1 SDV のカードには、PCIe x8 分が配線されていたため2、PCIe Gen4 x4 で接続というのは Tiger Lake-U/UP3 側の仕様に引っ張られていると思われる。
11th Generation Intel® Core™ Processor (UP3 and UP4)3 には、PCIe Gen4 x8 (x4 *2) が、NVMe SSD と dGPU にそれぞれ x4 ずつ割り振られ、そのどちらかを利用できるとある。

dGPU ながら、メモリに GDDR系ではなく LPDDR4x を採用したのは製造プロセスと関係していると思われる。
Tiger Lake と同じ LPDDR4xメモリ対応とすれば、メモリコントローラー、PHY (物理層) 等の設計をそのまま持ってくることが可能であり、メモリとディスプレイ出力部との調節を行なう手間も減らせる。
というよりは DG1 の設計に掛けるリソースを節約する中で、Tiger Lake をベースとする、ことがまずあったのではないかと思う。
Tiger LakeDG1 で違うのは、CPU、LLC (Last Level Cache)、USB4 等の有無、GPU L3キャッシュの容量くらいとされる。

Tiger Lake は LPDDR5メモリにも対応しているため、その点も共通とすれば、将来的に LPDDR5メモリを搭載した Iris Xe MAX の上位製品が考えられるが、
そういった製品を出すかどうかはびみょうで、出さない気がする。

今後の Intel GPU

サーバー向けの SG1 は今年中に出荷予定にあり、2021年前半には OEMパートナーを通してデスクトップ向け DG1 が提供される。
また、2021年にはデータセンター向けの Xe-HP、ゲーミング向けの Xe-HPG が予定されている。

Xe-HP はタイルと呼ぶダイを、EMIB によって最大 4タイルを 1つのパッケージに搭載する構成となる。タイルあたりの EU数は最大 512基。 Xe-HP は Intel の次世代プロセス、10nm Enhanced SuperFin で製造される予定。
Xe-HPG は規模、構成は不明だが、HWレイトレーシングに対応し、メモリにはコスト比に優れる GDDR6 を採用する。
製造は Intel ではなく、外部ファウンダリに委託される。4