現地時間 2020/10/08 に AMD より、Zen 3 アーキテクチャ を採用する Ryzen 5000シリーズの製品ラインナップが発表された。
- AMD Launches AMD Ryzen 5000 Series Desktop Processors: The Fastest Gaming CPUs in the World :: Advanced Micro Devices, Inc. (AMD)
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Ryzen 5000シリーズは 2020/11/05 より発売開始される。
Model | Core/Thread | Base/Boost Clock | TDP |
---|---|---|---|
Ryzen 9 5950X | 16/32 | 3.4GHz/4.9GHz | 105W |
Ryzen 9 5900X | 12/24 | 3.7GHz/4.8GHz | 105W |
Ryzen 7 5800X | 8/16 | 3.8GHz/4.7GHz | 105W |
Ryzen 5 5600X | 6/12 | 3.7GHz/4.6GHz | 65W |
Zen 3 アーキテクチャで分かっていること
Zen 2 アーキテクチャ では Zen/+ アーキテクチャ と比較して IPC は 15% 向上したが、Zen 3 アーキテクチャ ではそこからさらに 19% 向上したとしている。
ブーストクロックにおいても Ryzen 3000シリーズ (Matisse) よりも高いクロックを発揮する。
また、CCX のレイアウトが変更され、それによりレイテンシを大きく削減している。
Zen 2 アーキテクチャ とチップレット構成を採用する Matisse /Rome では、同 CCD にある CCX間のアクセスも、I/Oダイ側に存在する SDF(Scalable Data Fabric) を経由して行なうため、大きなレイテンシが発生する。
アクセス帯域も、CCD と I/Oダイとの接続幅 (Write: 16Byte/Cycle, Read: 32Byte/Cycle) の制約を受けていた。

それが Zen 3アーキテクチャ では CCXあたり 8-Core、L3キャッシュ 32MB となったため、同 CCD 内で言えばレイテンシは解消され、アクセス帯域は大幅に向上したことになる。
Zen 3 アーキテクチャで分かっていないこと
プロセスは Matisse の時と変わらない TSMC 7nm FinFet としているが、RDNA /GFX10 GPU 等にも用いられた TSMC N7 でも、EUV露光技術を用いる TSMC N7+ でもトランジスタ構造は FinFet であり、どちらも TSMC 7nm FinFet とすることは可能なはずである。
他にも TSMC N7 を改良した TSMC N7P プロセスがあるため、Ryzen 5000シリーズの製造プロセスはやはりはっきりしない。
TSMC N7P では EUV露光技術は使われず、TSMC N7 と同じ DUV となる。
AMD は IPC 19% 向上の内訳こそ明かしているが、その詳細、マイクロアーキテクチャの変更点はまだ明かしていない。
コンパイラにもまだ znver3
をサポートするパッチは投稿されておらず、パッチか AMD の発表を待つ他ない。
Ryzen 5000シリーズの発売までの間か、Milan の発表時あたりに公開されるとは思うが。

Zen 2 マイクロアーキテクチャ
ゆるく推測するならば、内訳に Front End があるため、デコード幅や Opキャッシュからキューに送り込む命令数、キューから各スケジューラー (Int/FP) にディスパッチする命令数を増やした可能性が考えられる。
Execute Engine に関しては、実行ユニットやリオーダーバッファを増やしたと考えられるが、それらをどれだけ増やしたかはやはり AMD による発表を待つしかない。