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PCIeカード型の Radeon Pro W5700X 32GB?

ベンチマークプラットフォーム OpenBenchmarking.org に以下のような、Navi10 をベースとしたVRAM 32GBを搭載するカードを組み込んだシステムの結果が見つかった。

Processor: AMD A10 PRO-7800B R7 12 Compute Cores 4C+8G @ 3.50GHz (2 / 4 Threads),
Motherboard: LENOVO Bantry CRB (M0LKT12AUS BIOS),
Chipset: AMD 15h, Memory: 2 x 4096 MB DDR3-1600MT/s,
Disk: 1000GB Seagate ST1000LM048-2E71,
Graphics: AMD Navi 10 32GB (300/875MHz),
Audio: Realtek ALC662 rev3,
Monitor: LG HDR 4K,
Network: Realtek RTL8111/8168/8411

Intel Core i7 950 でテストした結果も見つかっている。1

このカードの正体は分かっており、現地時間 2019/12/10 付けで Apple Mac向けのモデルとして発表された Radeon Pro W5700X と判明している。
Phoronix Test Suite には、ベンチマークを実行するシステムの情報を収集する機能があり、そのシステムの環境によっては Linux Kernel が出力するログも収集されている。Kconfig の SECURITY_DMESG_RESTRICT は有効にしておこう。
そして、ログの中に AMD GPU の DeviceID、RevisionID も含まれていたため、そこで Radeon Pro W5700X (0x7310:0x00) と判断できる。

VRAM 32GB という巨大なメモリサイズに目が行くが、現時点では Mac Pro の CTO で 32GBモデルを選ぶことは出来ず、16GBのみであるものの、Radeon Pro W5700X のプレスリリースにて最大 32GBにも対応するとあるため2、その点では特別おかしいカードという訳ではない。

気になるのは、ベンチマークを実行したシステムが Apple Mac ではなく、ふつうのシステムであるという点だ。
上述したように、Radeon Pro W5700X は Apple Mac向けのモデルとして発表され、多くのボードが対応する PCIeカード型ではなく、Apple Mac Pro (2019) のロジックボードが対応する MPXモジュール型のみがリリースされている。
今回のふつうのシステムで実行された結果は、PCIeカード型の Radeon Pro W5700X 32GB が存在し、今後正式にリリースされる予定にある かも しれないことを示す。PCIeカード型が存在しても、市場に出ないことは十分あり得る。

ちなみに Navi10 のメモリバス幅 256-bit で VRAM 32GB を実現するとなると、GDDR6 16Gb(2GB) チップを 16枚それぞれ 16-bit 接続 (16-bit * 16 * 16Gb(2GB)) という構成になる。
Radeon Pro W5700X (16GB) MPX Module は $1,000 となっており3、32GBモデルが出たらそれが Navi10 ベースで最も高価なカードとなるのだろうか?