Microsoft が WSL2 で DirectX をサポートする計画を発表

Microsoft は開催中の開発者向けイベント、Microsoft Build 2020の中で、Windows向けグラフィクスAPI DirectX を WSL2 (Windows Subsystem for Linux 2) でサポートすることを発表した。
機械学習 API DirectML や NVIDIA CUDA といった GPUコンピューティングも WSL2 下で実行可能となる。
また、リモートデスクトップを用いて、Linux向けGUIアプリケーションを WSL2 から動作させる機能の将来的なサポートも発表している。
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The Windows Subsystem for Linux BUILD 2020 Summary | Windows Command Line

Direct X on “WSL”

仕組みとしては、Linux Kernel に Dxgkrnl と呼ぶ新たな KMD (Kernel Mode Driver) を実装し、Windows OS をホストOSとする Linux は Dxgkrnl を、Dxgkrnl は仮想的なバス (VM Bus) を通して Windows OS内のGPUドライバー、そして物理GPUと通信することで、DirectX 12 API を使用する。
これは WDDM (Windows Display Driver Model) v2.9 の仕様に統合される。

それと同時に DirectX のライブラリが Linux向けにリリースされる。
DirectX 12 の Linux向けライブラリ、libd3d12.so は Windows向けである d3d12.dll と同じソースコードからコンパイルされており、仮想化によるオーバーヘッドを除き、同等の機能と性能を提供するとしている。
現時点で Linux向けの DirextX 12 APIはオフスクリーンレンダリングとコンピュート機能を実行できるが、画面に直接レンダリングするためのスワップチェイン機能はサポートしていない。
ただこれは、その後に笑顔の顔文字付きで “yet” と書いており、将来的にサポートするつもりだと思われる。
UMD (User Mode Driver) と KMD が通信する際に用いられるレイヤー、DXGI の Linux向けライブラリ libdxcore.so もリリースされる。
そして、WSL2 側の UMD は GPUメーカーと連携し、WSL環境で実行可能となるよう再コンパイルされるとのこと。
これもまた、WDDM v2.9 ドライバーに統合される。

留意しておきたいのは、libd3d12.solibdxcore.so はクローズドソースであり、事前にコンパイルされたバイナリのみが、Windows の一部として出荷される。
GPUメーカーが提供する DirectX 12 UMD も当然クローズドソースだ。
そのため、WSL2以外 (WindowsをホストOSとしない Linux OS) は UMD が存在しないため、動作させることはできない。

また、Linux 環境下で DirectX を実行するソフトウェアでは、Wine / Protonが有名だが、Wine は API 呼び出しを変換する形で実行しているため、今回の Microsoft が行なう Linux へのさらなる歩み寄りを、それらに活かせるかは微妙なところと思われる。


Update:
 2020/07/20 11:51 JST