CPUID Model
Intel の Tony Luck 氏により、Linux Kernel に Arrow Lake と Lunar Lake-M の CPUID Model 情報を追加するパッチが投稿された。
Arrow Lake の CPUID Model は 0xC6 (198)
、Lunar Lake-M は 0xBD (189)
とされている。
CPUID Model 情報を集約している intel-family.h (arch/x86/include/asm/intel-family.h)
では主に、接尾辞がないものをデスクトップ向け、_L, _N, _P
をモバイル向けとしている。
そのため今回追加された Arrow Lake の CPUID Model はデスクトップ向けと思われる。Lunar Lake-M の _M
については記載がないが、Meteor Lake-M/P の例から、おそらくモバイル向けだろう。
+#define INTEL_FAM6_LUNARLAKE_M 0xBD +
+#define INTEL_FAM6_ARROWLAKE 0xC6 +
- [PATCH] x86/cpu: Add Lunar Lake M - Tony Luck
- [PATCH] x86/cpu: Add model number for Intel Arrow Lake processor - Tony Luck
CPUID Model 情報の追加によって Linux Kernel 内でそれら CPU の識別が可能になる。主に PMU (Performance Monitoring Unit) 部のサポートや、相性問題が発生する場合にはプラットフォームの検出のために使われる。
別に CPUID Model 情報が無いからと言って Linux Kernel の起動が出来ない訳ではない。
Intel® Architecture Instruction Set Extensions Programming Reference などのドキュメントに先んじて CPUID Model 情報が追加されたが、Tony Luck 氏は追加する理由として Intel がすでにロードマップで発表していることを挙げている。
Arrow Lake は Intel 20A プロセスで製造されるタイル (チップレット、ダイ) を搭載し、2024年に登場予定。Lunar Lake については製造プロセスも登場時期も Intel は発表していない。
Arrow Lake-S/P の GPU DeviceID
Intel の Garg, Nemesa 氏による Arrow Lake-P の GPU DeviceID を追加するパッチも投稿されている。
パッチのタイトルやコメントでは Arrow Lake-S にも触れられているが、実際に追加されているのは Arrow Lake-P の DeviceID のみ。
パッチにて、Meteor Lake と Arrow Lake の GPU 部はわずかな違いがあるだけで、基本的な動作は同じだと Garg, Nemesa 氏はコメントしている。
Meteor Lake, Arrow Lake ではタイルアーキテクチャを採用しているため、GPU タイルについては共通のタイル、もしくは同じアーキテクチャとなることが考えられる。
Arrow Lake behaves the same as Meteor Lake with just minor differences. Add definitions for ARL_P. Update MTL and ARL definitions with new device IDs for ARL-S and ARL-P.
また、このパッチは intel-gfx メーリングリストには投稿されていないため、正式版のパッチでは内容が変更されている可能性がある。