Coelacanth's Dream

Intel Innovation 2022 Day 1 個人的メモ

Raptor Lake

第 13世代 Intel プロセッサとして、コードネーム Raptor Lake が正式発表された。
Raptor LakeAlder Lake に採用されている Golden Cove (Core, P-Core) + Gracemont (Atom, E-Core) からマイクロアーキテクチャ自体は変更されていないと思われるが、P-Core は Raptor Cove となった。
Raptor Cove では Intel 7 プロセスの改良、動作クロックの向上、P-Core の L2キャッシュの増量 (1.25 MB -> 2.0 MB) と “L2P” と呼ぶダイナミックプリフェッチアルゴリズムの導入によりコアあたりの性能を向上させている。

プロセッサ全体としては、E-Core Module/Cluster を Alder Lake の最大 2基 (8 E-Core) から 4基 (16 E-Core) に増やし、Module/Cluster ごとに持つ共有 L2キャッシュも増量されている (2.0 MB -> 4.0 MB)。
E-Core Module/Cluster を増やしたことで LLC (Last Level Cache) の容量も増えた。
内部ファブリックの高速化、メモリレイテンシの削減も合わさって、マルチスレッド性能は 41% 向上したと主張している。(Core i9-13900K vs Core i9-12900K)

Intel Thread Director (ITD)、EHFI (Enhanced Hardware Feedback Interface) も Alder Lake から改良されている。
PC Watch の 笠原 一輝 氏の記事によると、機械学習を利用してスレッドの分類がより細かく改善され、また Alder Lake から P-Core ごとに ITD 用のマイクロコントローラを搭載している。1
ただ Intel が公開しているメディア向けプレゼンテーションを見るに、スレッドの種類 (Class) 数は Alder Lake は変わらず 4種類となっている。また Class の判別に機械学習を用いているのは Alder Lake からであり、Hot Chips 33 でそのことが発表されている。2
要はファームウェアの改良によってスレッドの種類の判別がより正確になった、ということと思われる。

P-Core ごとに ITD 用のマイクロコントローラを搭載していることについては、ITD/EHFI では各コア Class ごとの性能と電力効率を表すレベルが提供されるため、実際には E-Core にも ITD 用のマイクロコントローラが搭載されているのではないかと思われる。
あるいは P-Core が E-Core の状況も監視しているか、またはコア全体を監視するマイクロコントローラが存在する可能性もあるが。

参考リンク