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AMD Pink Sardine プラットフォームをサポートするパッチが Linux Kernel に投稿される

AMD の Syed Saba kareem 氏より、Linux Kernel ASoC ドライバーに Pink Sardine プラットフォームと その ACP (Audio CoProcessor) のサポートを追加するパッチが alsa-devel メーリングリストに投稿されている。
Pink Sardine は ACP v6.2 を採用し、これは先にパッチが投稿された AMD RPL プラットフォームと同じ IPバージョンとなる。
また Pink Sardine ACP の DeviceID は 0x15E2 となっており、これは Raven, Renoir, VanGogh, Yellow Carp (Rembrandt), RPL ACP と同じ DeviceID。AMD ACP は Raven から DeviceID を 0x15E2 で統一し、PCI RevisionID で区別する方法を取っている。

Pink Sardine

Linux Kernel では以前、k10temp ドライバーと AMD PMC (Power Management Controller) ドライバーに Family 19h Model 70h-7Fh のサポートを追加するパッチが投稿されていた。
そこでは Family 19h Model 70h-7FhAMD_CPU_ID_PS が関連付けられており、PS が何の略かは明かされていなかったが、今回投稿された Pink Sardine がそこに当てはまると思われる。
Linux Kernel で Family 19h Model 60h (CB), Family 19h Model 70h (PS) のサポートが進む | Coelacanth’s Dream

今回のパッチには AMD PHEONIX PDM Driver の記述があり、PHEONIXPhoenix の typo ではないかと思われる。

 +MODULE_DESCRIPTION("AMD PHEONIX PDM Driver");
 +MODULE_LICENSE("GPL v2");
 +MODULE_ALIAS("platform:" DRV_NAME);

PhoenixAMD RDNA 3/GFX11 APUGC 11.0.1 (gfx1103) に付けられたコードネーム。
プラットフォームと APU に対するコードネームという違いはあるのかもしれないが、実質 Pink Sardine = Phoenix APU だと考えられる。
Green SardineCezanne APUYellow CarpRembrandt APU と同じ関係性だろう。

AMDGPUドライバーでは IPバージョンベースのサポートに移行したことで新たな APU/GPU においてコードネームはほとんど使われなくなり、Mesa3D も 色 + 魚 のコードネームから Navi21 のようなコードネームか GPUID を用いるようになったが、その他 Linux Kernel 内のドライバーでは引き続き 色 + 魚 を用いるようだ。
AMD RPL という例外がすでに存在してはいるが、Family 19h Model 60h-6Fh に関連付けられた CB (AMD_CPU_ID_CB) の略はまだ不明であり、RPL とは別のコードネームがあると思われる。

ACP をサポートするドライバーには SOF (Sound Open Firmware) プロジェクトによるものもあるが、SOF では Yellow Carp のような 色 + 魚 のコードネームではなく、Rembrandt を用いている。
また、最近では Sabrina のコードネームで Coreboot のサポートが進められていた APU が、実際は Mendocino APU であり、コードネームも Mendocino にすべて置き換えられるということがあった。1
そうした件から見るに、正式発表を前に内部的なコードネームを公開できない事情があるのだろう。