Intel より、Intel Arc Aシリーズ GPU とその詳細が正式発表された。
その個人的なまとめ。
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ACM-G10 (DG2-G10), ACM-G11 (DG2-G11)
一般に公開されているリリース、資料には記述されていないが、メディア向けの資料には Intel Arc Aシリーズのベースとなる 2種類のダイの詳細がある。
ACM-G1x という名称については、IGC (intel-graphics-compiler) で使われているが、指すものは Linux Kernel ドライバーや Mesa3D で使われている DG2-G1x と同じ。
ACM-G10 と ACM-G11 はどちらも TSMC 6nmプロセスで製造され、インターフェイスは PCIe Gen4、メモリには GDDR6 を採用する。
ダイ間の違いは規模が主となり、ACM-G10 は Xe-Core 32基 (EU 512基)、L2キャッシュ 16MB、GDDR6 256-bit、PCIe Gen4 x16、
対して ACM-G11 は Xe-Core 8基 (EU 128基)、L2キャッシュ 4MB、GDDR6 96-bit、PCIe Gen4 x8 となる。
L1キャッシュ/SLM (Shared Local Memory) 192KB、メディアエンジン 2基、ディスプレイエンジン (パイプ) 4基という点は共通。
ダイサイズとトランジスタ数は、ACM-G10 が 406mm2 と 21.7B、ACM-G11 が 157mm2 と 7.2B となっている。
ACM-G12 (DG2-G12)
オープンソース・ドライバーでは、ACM/DG2-G10/G11 に加え ACM/DG2-G12 のサポートが進められているが、今回の発表では触れられていない。
IGC 内の記述から、ACM/DG2-G12 は Xe-Core 16基 (EU 256基) なると見られ、発表されている SKU では Intel Arc A550M と一致する。
だが、Intel の公式ページでは Arc A550M の DeviceID は 0x5692
としており1、これは ACM/DG2-G10 に割り当てられた DeviceID となる。2
スペックが近いダイがあっても ACM/DG2-G10 をベースにしていることから、ACM/DG2-G12 ベースの SKU は後から発表されるのかもしれない。
また、Mesa3D 内の記述から、 ACM/DG2-G12 の L2キャッシュサイズは 8MB になると見られる。
DG2-G12, DG2 L3 banks, SIMD width | Coelacanth’s Dream
case IGFX_DG2: + /* 128 */ if (TRUE == GFX_IS_DG2_G11_CONFIG(platform->getPlatformInfo().usDeviceID)) { InitAcm_G11HwWaTable(&waTable, pSkuFeatureTable, &stWaInitParam); InitAcm_G11SwWaTable(&waTable, pSkuFeatureTable, &stWaInitParam); } + /* 256 */ + else if (TRUE == GFX_IS_DG2_G12_CONFIG(platform->getPlatformInfo().usDeviceID)) + { + InitAcm_G12HwWaTable(&waTable,pSkuFeatureTable, &stWaInitParam); + InitAcm_G12SwWaTable(&waTable,pSkuFeatureTable, &stWaInitParam); + } + /* 512 */
メディアエンジン
ACM/DG2-G10/G11 が AV1 HWエンコードに対応することは、データセンター向けとなる Arctic Sound-Mainstream (ATS-M) の発表時に明らかにされていたが、一般向け SKU でも対応することが今回発表された。
発表内では、デコードは最大 8k60 12-bit HDR、エンコードは 8k 10-bit HDR に対応するとしている。
一方、intel/media-driver の直近の変更によれば、デコードは HEVC/VP9/AV1 の場合、最大 16k、エンコードは HEVC では 16k、VP9 と AV1 は 8k に対応するとしている。
ATS-M
ATS-M のサポートを追加するパッチが、Intel の Matt Roper 氏より、Linux Kernel における Intel GPUドライバー、i915 のメーリングリストに投稿された。
Matt Roper 氏は ATS-M を、(DG2 と同じ) XE_HPG (Graphics ver: 12.55)
と XE_HPM (Media ver: 12.55)
をベースするが、ディスプレイ出力はサポートしない、サーバー向けプラットフォームだと説明している。
ATS-M150 、ATS-M75 という名称とその DeviceID も追加されている。
DeviceID と、ATS-M150 が ACM/DG2-G10 を、ATS-M75 が ACM/DG2-G11 をベースにする点は、Mesa3D の内容と一致する。
DG2 と Arctic Sound-M の関係性 | Coelacanth’s Dream