Coelacanth's Dream

Cyan Skilfishシリーズ、Navi10_LITE、Navi12_LITE に Robin に Ariel

先日に Cyan Skillfish/SkilfishNavi10_LITE を関連付けるパッチが投稿、公開されたが、さらなる情報を含んだパッチが新たに公開された。
Cyan Skilfish と Navi10_LITE | Coelacanth’s Dream どうでもいい話だが、Cyan Skillfish/Skilfish の名前が出てきた当初、SkillfishSkilfish で表記が揺れており、Skilfish (アブラボウズの英名) が正しいと考え、自分はそちらに極力統一しているが、AMDGPUドライバーでは Skillfish がすっかり定着している。
Linux Kernel に RDNA APU 「Cyan Skilfish」 をサポートするパッチが投稿される | Coelacanth’s Dream

ROBIN+

パッチは前回のものをアップデートさせたような内容となっているが、追加される DeviceID が変更されており、前回は 0x1400 としていたのが、今回は 0x143F としている。
コメント部も興味を引く内容で、0x143FROBIN+ の DeviceID であることを示している。

 -#define DEVICE_ID_NV_13FE 0x13FE  // CYAN_SKILLFISH
 +#define DEVICE_ID_NV_NAVI10_LITE_P_13FE          0x13FE  // CYAN_SKILLFISH
 +#define DEVICE_ID_NV_NAVI10_LITE_P_143F			0x143F // ROBIN+

コードネームの類と思われるが、自分は ROBIN の情報を全く持っていない。ROBIN+ とあることから他のコードネームを持つ APU も同じ DeviceID に割り当てられている可能性もある。
としても、今回のパッチで追加されたように、また is_skillfish_series() 関数における判定に使われていることからも Cyan Skilfish に関連することは確かと言える。
is_skillfish_series() 関数を使用している部分からして、ROBIN (0x143F) もまたディスプレイコントローラーに DCN 2.01 を採用し、最大画面出力数は 2画面で変わらない。
また、Cyan Skilfish はディスプレイコントローラー部において、eDP のバックライト調整機能 (Adaptive Backlight Modulation) や Panel Self Refresh 機能を担当する DMCU (Display Microcontroller Unit) を持たないが、同じ RDNA/GFX10.1 世代では Navi10, Navi14 も持たないため、特別変わった点ではない。RDNA/GFX10.1 世代では Navi12 だけが DMCU を持つ。

 +bool is_skillfish_series(struct amdgpu_device *adev)
 +{
 +	if (adev->asic_type == CHIP_CYAN_SKILLFISH || adev->pdev->revision == 0x143F) {
 +		return true;
 +	}
 +	return false;
 +}

Navi10_LITE には Ariel というコードネームも結びついている。ArielCyan Skilfish 以前に内部で使われていたコードネームのようだが、現在では使われていない。
どういった背景かは不明だが、ある APU を指すコードネームが多角的に増え、Navi10_LITE, Navi12_LITE, Ariel, Cyan Skilfish, Robin となったのだろう。

 	SWDEV-132899 - [OCL][GFX10] passing "force-wgp-mode" option to Finalizer to enable WGP mode by default on gfx10+
 	and allow GPU_ENABLE_WGP_MODE to control the WGP/CU mode for HSAIL/SC path as well.
 	- also for Ariel (Navi10Lite) the wave32 should be disabled in LC but allow GPU_ENABLE_WAVE32_MODE control it for testing if needed.

Cyan Skilfishgfx1013 として LLVM などにはサポートが追加されているが、Mesa3D の RadeonSI (OpenGL)RADV (Vulkan) には未だサポートが追加されていない。
HWレイトレーシングをサポートする RDNA APU 「Cyan Skilfish (gfx1013)」 | Coelacanth’s Dream どういった製品、SKU で登場するのか、そして普通の APU として使用可能どうかも、複数のコードネームと合わせてまだまだ不明。

最後に、ROBIN+ のコメント部は他のパッチで消されている。Navi10_LITE の名も、AMDGPUドライバーに一度現れて消え、そしてまた現れている。
あまり姿を見せられないカスタム APU なのだろうが、それでも AMDGPUドライバーではサポート作業を進めている。それだけに不明な部分が増えているようにも思う。

参考リンク