Linux Kernel における AMD GPU ドライバーに向け、DisplayPort 2.0 SST (Single-Stream Transport)、そして UHBR10 (Ultra High Bit Rate, 10 Gbit/s) に対応するパッチが投稿された。
DisplayPort 2.0 ではエンコード方式が、従来の 8b/10b (データ効率 80%) から 128b/132b (データ効率 96.71%) 変更されており、データ効率が向上している。
レーンあたりのビットレートには UHBR10 (10 Gbit/s)、UHBR13.5 (13.5 Gbit/s)、UHBR20 (20 Gbit/s) の 3つがサポートされている。
今回の一連のパッチでは、ディスプレイエンジンIP DCN 3.1 の内部ブロックのサポートを追加するものも含まれており、DCN 3.1 にて DP 2.0 UHBR10 をサポートすると考えられる。
そして DCN 3.1 は、Yellow Carp (Rembrandt) APU で採用されることが以前のパッチで判明している。
RDNA 2 APU 「Yellow Carp」 をサポートするパッチが Linux Kernel に投稿される ―― DCN3.1 / VanGogh より大きいキャッシュ | Coelacanth’s Dream
RDNA 2 アーキテクチャ を採用する dGPU Sienna Cichlid, Navy Flounder, Dimgrey Cavefish, Beige Goby
と VanGogh APU はディスプレイエンジンに DCN 3.0x を採用しており、既に製品として登場しているものは DP 1.4 with DSC までの対応となっている。1
そのため、DP 2.0 UHBR10 をサポートしている可能性を持つ AMD GPU/APU は Yellow Carp (Rembrandt) APU からとなる。
Yellow Carp (Rembrandt) は VanGogh に続く RDNA 2 APU となり、人感センサーのサポートに関する他のパッチから次世代モバイルプラットフォームとして登場すると目される。
AMD の次世代モバイルプラットフォームでは人感センサーをサポート | Coelacanth’s Dream
DCN 3.1 では新たなクロックステートが追加され、省電力面も従来から強化されている。
また人感センサーについても、既に近い技術、機能を Tiger Lake の世代に投入している Intel の用途から、省電力への活用が期待される。
アーキテクチャの進化以外にも、APU/SoC として各種機能にも改良が加えられている Yellow Carp (Rembradt) だが、一方でマルチメディアエンジンから AV1 を含む一部コーデックのサポートが削られる情報が存在する。
他 RDNA 2 GPU とは対応コーデックが異なる Yellow Carp APU と Beige Goby GPU | Coelacanth’s Dream
さらには最近になって、Barcelo 、Mendocino という新たな APU のコードネームが OSS 上に登場したこともあり、機能と登場時期については読み取りにくいところがある。
最も、AMD APU/GPU をサポートするパッチが投稿されてから実際に登場するまでは、ものによっては大きく期間が空くこともあり、予想したところで仕方がないし、興味の対象にもなりにくい。
AMD APU | CPU Arch | GPU Arch |
---|---|---|
Renoir | Zen 2 | Vega (gfx90c) |
Lucienne | Zen 2 | Vega (gfx90c) |
Cezanne | Zen 3 | Vega (gfx90c) |
Barcelo | Zen 3 ? | Vega (gfx90c) |
Mendocino | ? | ? |
Yellow Carp (Rembrandt) | ? | RDNA 2 (gfx1035) |
VenGogh | Zen 2 | RDNA 2 (gfx1033) |
Cyan Skilfish | ? | RDNA (gfx1013) |