Coelacanth's Dream

Intel、Display13 改め 「XE_LPD」 をサポートするパッチを投稿 ―― 今後は独立して各 IP が更新されるように

Intel GPU のディスプレイエンジンIP XE_LPD をサポートするパッチが Linux Kernel (intel-gfx) に投稿された。
パッチの中身としては、以前投稿された Display13 をサポートするパッチと同じであり、パッチのタイトルやコード中のコメントにあった Display13XE_LPD にリネームしたのがほとんどとなる。
Linux Kernel に Intel “Display13” をサポートする最初のパッチが投稿される | Coelacanth’s Dream パッチの目的はむしろ、新たなディスプレイIPをサポートすることよりも、将来の GPU のため、IP のバージョン管理を変更することにある。

今後 GPUコア、メディア、ディスプレイは独立して更新するように

Intel の GPUアーキテクチャは基本 Gen11 とか Gen12 といったように、単一のバージョン番号で語られることが多いが、ハードウェア的には GPUコア、メディアエンジン、ディスプレイエンジンで分かれている。

画像出典: Intel® Iris® Xe MAX Graphics Open Source Programmer’s Reference Manual For the 2020 Discrete GPU formerly named “DG1” Volume 4: Configurations - intel-gfx-prm-osrc-dg1-vol04-configurations.pdf

DG1 IP version

画像出典: Intel® Iris® Xe MAX Graphics Open Source Programmer’s Reference Manual For the 2020 Discrete GPU formerly named “DG1” Volume 4: Configurations - intel-gfx-prm-osrc-dg1-vol04-configurations.pdf

DG1 はまだそれらのバージョン番号が統一されており、それまでも基本そうだったが、今後の Intel GPU では別々に独立してハードウェアIPが更新されるようになるため、そうもいかなくなった。
バージョンが統一されていない特殊な例として、GPUコアは Gen9 アーキテクチャ だが、ディスプレイエンジンは HDMI 2.0 に対応していた、Gemini Lake が存在する。

今後は、「GPUコア (graphics version)」、「メディアエンジン (media version)」、「ディスプレイエンジン (display version)」を、ドライバー側がまず GPU の DeviceID (PCI ID) を読み取り、それから判断するのではなく、MMIOレジスタからそれらバージョンを直接読み取れるよう変更する予定にあるとのこと。
これらはハードウェアチームから提案されたものだという。

また、XE_LPD という呼称はマーケティングにも導入するとしている。
Gen12LP アーキテクチャ も、発表の場では Xe-LPアーキテクチャ と呼ばれており、他の Xe系列も Xe-HPXe-HPGXe-HPC として紹介されていたため、マーケティングでは XE_LPD の方が自然かもしれない。

パッチでは同時に、 間もなく 登場するハードウェアプラットフォームでは、GPUコアは Gen12 、ディスプレイエンジンは新たな XE_LPD/Display13 が採用されることを明らかにしている。

   The next hardware platform we'll be upstreaming (very soon!) will have a
   display version of 13 and a graphics version of 12, so let's just the
   first step of breaking out DISPLAY_VER(), but leaving the rest of
   INTEL_GEN() untouched for now.  For now we'll automatically
   derive the display version from the platform's INTEL_GEN() value except
   in cases where an alternative display version is explicitly provided in
   the device info structure.

それがディスクリートGPUなのか、それともハードウェアプラットフォームという呼び方から統合グラフィクスなのかも、まだはっきりしないが、間もなく (very soon!) と言うくらいなのだから、そう期待の熱が冷めない内にパッチか正式リリースの形で発表してくれることだろう。

Display13 改め XE_LPD の主な新機能には、16K 解像度への対応、仮想機能 (Intel VT-d) の対応強化、パワードメインの変更、Watermak 数の増加による電力効率の向上等が挙げられる。
ディスプレイエンジンの更新ということで、体感しやすい性能への影響は小さいが、解像度や仮想機能、電力効率向上と、着実にユーザーの利便性を向上してくれる機能が並んでいる。