Intel GPU のディスプレイエンジンIP XE_LPD をサポートするパッチが Linux Kernel (intel-gfx) に投稿された。
パッチの中身としては、以前投稿された Display13 をサポートするパッチと同じであり、パッチのタイトルやコード中のコメントにあった Display13 を XE_LPD にリネームしたのがほとんどとなる。
Linux Kernel に Intel “Display13” をサポートする最初のパッチが投稿される | Coelacanth’s Dream
パッチの目的はむしろ、新たなディスプレイIPをサポートすることよりも、将来の GPU のため、IP のバージョン管理を変更することにある。
今後 GPUコア、メディア、ディスプレイは独立して更新するように
Intel の GPUアーキテクチャは基本 Gen11 とか Gen12 といったように、単一のバージョン番号で語られることが多いが、ハードウェア的には GPUコア、メディアエンジン、ディスプレイエンジンで分かれている。

DG1 IP version
DG1 はまだそれらのバージョン番号が統一されており、それまでも基本そうだったが、今後の Intel GPU では別々に独立してハードウェアIPが更新されるようになるため、そうもいかなくなった。
バージョンが統一されていない特殊な例として、GPUコアは Gen9 アーキテクチャ だが、ディスプレイエンジンは HDMI 2.0 に対応していた、Gemini Lake が存在する。
今後は、「GPUコア (graphics version)」、「メディアエンジン (media version)」、「ディスプレイエンジン (display version)」を、ドライバー側がまず GPU の DeviceID (PCI ID) を読み取り、それから判断するのではなく、MMIOレジスタからそれらバージョンを直接読み取れるよう変更する予定にあるとのこと。
これらはハードウェアチームから提案されたものだという。
また、XE_LPD という呼称はマーケティングにも導入するとしている。
Gen12LP アーキテクチャ も、発表の場では Xe-LPアーキテクチャ と呼ばれており、他の Xe系列も Xe-HP、Xe-HPG、Xe-HPC として紹介されていたため、マーケティングでは XE_LPD の方が自然かもしれない。
パッチでは同時に、 間もなく 登場するハードウェアプラットフォームでは、GPUコアは Gen12 、ディスプレイエンジンは新たな XE_LPD/Display13 が採用されることを明らかにしている。
The next hardware platform we'll be upstreaming (very soon!) will have a display version of 13 and a graphics version of 12, so let's just the first step of breaking out DISPLAY_VER(), but leaving the rest of INTEL_GEN() untouched for now. For now we'll automatically derive the display version from the platform's INTEL_GEN() value except in cases where an alternative display version is explicitly provided in the device info structure.
それがディスクリートGPUなのか、それともハードウェアプラットフォームという呼び方から統合グラフィクスなのかも、まだはっきりしないが、間もなく (very soon!) と言うくらいなのだから、そう期待の熱が冷めない内にパッチか正式リリースの形で発表してくれることだろう。
Display13 改め XE_LPD の主な新機能には、16K 解像度への対応、仮想機能 (Intel VT-d) の対応強化、パワードメインの変更、Watermak 数の増加による電力効率の向上等が挙げられる。
ディスプレイエンジンの更新ということで、体感しやすい性能への影響は小さいが、解像度や仮想機能、電力効率向上と、着実にユーザーの利便性を向上してくれる機能が並んでいる。