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Intel Tiger Lake は "Power Limit4" をサポート

Intel の次世代モバイル向けプロセッサ Tiger Lake では、SoCパッケージレベルの最大電力制限、Power Limit4 をサポートすることがわかった。
powercap: Add Power Limit4 support この Power Limit4 (以下 PL4 ) は、以前から Intelプロセッサのデータシートに記述されてはいたが、サポートするプロセッサはこれまで無かった。1

PL4 は SoC の瞬間的な消費電力が電源アダプタやバッテリーの許容範囲を超えないよう、先制的に SoC の消費電力、動作クロックを制限するためのものとされている。
PL4Tiger Lake でサポートされるということは、Comet Lake から一部のモデルに導入された Velocity Boost のような、温度と消費電力に余裕がある場合に動作クロックを引き上げる機能が Tiger Lake にも導入されるのかもしれない。

そして、Tiger LakePL4 にはどのような値が設定されているのかというと、ある例では以下のようになっている。

  register "power_limits_config[POWER_LIMITS_U_2_CORE]" = "{
        .tdp_pl1_override = 15,
        .tdp_pl2_override = 38,
        .tdp_pl4 = 71,
  }"
  register "power_limits_config[POWER_LIMITS_U_4_CORE]" = "{
        .tdp_pl1_override = 15,
        .tdp_pl2_override = 60,
        .tdp_pl4 = 105,
  }"
  register "power_limits_config[POWER_LIMITS_Y_2_CORE]" = "{
        .tdp_pl1_override = 9,
        .tdp_pl2_override = 35,
        .tdp_pl4 = 66,
  }"
  register "power_limits_config[POWER_LIMITS_Y_4_CORE]" = "{
        .tdp_pl1_override = 9,
        .tdp_pl2_override = 40,
        .tdp_pl4 = 83,
  }"

引用元: soc/intel/tigerlake: Set power limits for Tiger Lake Y-SKU (If4f12264) · Gerrit Code Review

この時気を付けたいのは、まず上記の値が設定されているのは、Tiger Lake を搭載する Chromebookボードのベースボード、親的な存在である Volteer 用の値であり、Tiger Lake のデフォルト設定ではないこと、
そして、あくまでも PL4 は SoC のピーク消費電力を制限するものであり、そこに到達するまで動作クロックを引き上げるものではなく、そもそも到達する前に温度的な限界が来るだろう。
Tiger Lake は iGPU を搭載し、TDP などを CPU と GPU で分け合うため、CPU だけで食い切れるものでもない。

まあそれ抜きにしても、仕様における TDP を示す PL1PL2 がかけ離れており、中々に凄いものがあるが。
モバイル向け Ice LakePL2AnandTech による検証から、50W に設定されていると考えられるが2、上記 Tiger Lake-U (4-Core) はそれを超えて 60W に設定されている。

しかし、繰り返すが PL2 の値もあくまで Volteer 用に設定された値であり、Tiger Lake のデフォルト設定ではないことを留意したい。

参考リンク