AMD、「PPR for AMD Family 17h Model 20h, Revision A1 Processors」 を公開

AMD は 2020/06/05付けで 「Processor Programming Reference (PPR) for AMD Family 17h Model 20h, Revision A1 Processors」 を公開した。
Tech Docs | AMD

Family 17h Model 20h は、CPU は Zenアーキテクチャで最大 2-Core/4-Thread、GPU は Vegaアーキテクチャ(gfx909)で最大 3CU、GF 14nmプロセスで製造される Raven2 ……の別リビジョン、Dali と Pollock を示す。
ただ、後述するが Dali については Chromebook向けのものが今の所 Model 20h とはっきりしている。

Model 20h-2Fh プロセッサDali /Pollock は、第8世代APUに基づく、エネルギー効率と性能に優れたラップトップ、タブレットのコンピューティング環境のニーズを満たすために開発されたとしている。
モバイル向けのソリューションでは TDP 4.5W-15W のプロセッサが利用可能となっている。

FT5ソケット/パッケージの一部概要も記されており、2-in-1 の小型のフォームファクター向けで、エネルギー効率を重視したクラスのパッケージとしている。

内部GPUの Device ID に、0x15D8 、0x15DD、そしてまだ実物が確認されていない 0x15D9 を使うとしており、今後さらなる低電力低コストな Zen APU の登場に期待が持てる。
予約されている 0x15D9 の Revision ID にはコンシューマ向けに使われることの多い 0xCX が 3つあることもそれを手伝う。 (0xC1, 0xC2, 0xC3)¹

Zen APU 再整理

最初に以前した間違いを訂正すると、Dali も x86_Model は 20h になる。
AMD Pollock の x86_Model は “0x20” | Coelacanth’s Dream

勘違いした原因は単純に自分の知識不足で、以下の AMD Ryzen 3 3250C の Geekbench結果にある Identifier の項目を見ると、Model 32 とあり、これを 16進数に変換すると 20h になる。
Google zork - Geekbench Browser そのため、FP5ソケットで搭載されようと、Dali は 20h であるはずだ。
ただただ情けなく、申し訳ない。

しかしもう少しややこしい話があり、すべての Dali が 20h という訳ではない。
Raven2 をベースとする、

• Athlon 300U²
• Ryzen 3 3200U³
• Athlon PRO 300GE⁴

らが x86_Model 18h 、つまり Picasso と認識されている点は変わりないが、

• Athlon Gold 3150U⁵
• Athlon Silver 3050U⁶
• Ryzen 3 3250U⁷

もまた、18h となっている。

これは少し不思議な話で、というのもそれらは Dali とされていたからだ。
CES 2020 で正式発表されたとき、脚注にある性能比較の詳細に割り振られた文字列が DAL-1、DAL-3 となっていた。⁸
DAL は Dali の略称。

これに関し、Chromium OSへのパッチの中で、一部の Chromebook向けでない Dali APU は Picasso と同じ CPUIDを使うとコメントされている。⁹

Chromebook向け以外で Dali だとはっきり言えるのは現状 AMD 3020e のみ¹⁰、Athlon Silver 3050e も Dali である可能性は高いが確認できていない。

……何があった？ GPUの Device ID だけでなく、CPU の判定までもややこしいなんて。
Raven2 なのに素直に Raven2 と言えず。
プロセッサのコードネームが、コードネームとしてうまく機能していないというのも中々に問題な気がする。
気にする人しか気にしないかもしれないが、ほんと何があったのか。