Coelacanth's Dream

Ryzen搭載Chromebookの情報を整理する

目次

Ryzen APU

Chromebookに搭載されるRyzen APUには以下のSKUが確認されている。

Ryzen 7 3700CRyzen 5 3500C に関しては DeviceID:RevisionID が同じ数字セグメントを持つ U-Series、 Ryzen 7 3700URyzen 5 3500C と一致し、先日確認されたベンチマーク結果を見てもベースクロックが一致するため、仕様としては特に変わらないものと推察される。12

U-Series を元にした仕様推測、というかコピペ

Picasso

GF 12nmプロセスで製造され、CPUは Zen/+アーキテクチャ で最大4-Core/8-Thread、L3cache 4MB、
GPUは Vegaアーキテクチャ (gfx902) で最大11CU、2RBE(8ROP)、L2cache 1MBの規模となるAPU。8

Raven2 /Dali /Pollock

GF 14nmプロセスで製造され、CPUは Zenアーキテクチャ 最大2-Core/4-Thread、L3cache 4MB、
GPUは Vegaアーキテクチャ (gfx909) 最大3CU、1RBE(4ROP)、L2cache 512KBの規模となるAPU。9
gfx909gfx902 で確認されていたバグを修正したもの。
I/O部の規模は Picasso より小さい。

名前が3つあるように書いたが、個人的にはまずRaven2が基本としてあり、DaliPollockはそのマイナーバージョンという認識でいる。

Board

Zork

Zork はChromebookにおけるRyzen APUのリファレンスボードの立ち位置にあり10Zork を元にした異なるボードが複数存在する。
EzkinilMorphiusTrembyleDalboz がそれにあたる。
他にもリファレンスボードにはAMDが提供している FP5 BGAソケット を実装した MandolinRaven2 (Dali) 仕様の Cereme が存在する11

ちなみにそれらChromebookのボードに使われているコードネームは、1980年から始まるコンピュータゲーム、Zorkシリーズに登場するキャラクターから取られていると思われる。

自分はプレイしたことがないためピンと来ないが、1つの作品だけから取らないあたり、コードネームを付けている人は相当のファンなのだろうか。
それ以外のボードもある作品内のキャラクターから取られていることが多い。12
Linuxディストリビューション Debianのコードネームがトイ・ストーリーのキャラクターから取られているのは有名な話で、この名付け方はプログラマー、ハッカーに共通するユーモアと言えるだろう。

ボードのPCIe接続のデバイス、映像出力の仕様は、
Picasso の場合、NVMe SSD (PCIeGen3 4レーン)、WLAN (PCIeGen3 1レーン)、SD Reader (PCIeGen3 1レーン)、
映像出力は最大4画面、内1画面はノートPCの搭載ディスプレイ(eDP)、外部への出力はHDMI、2x USB-C(DP)、
Raven2/Dali の場合、NVMe SSD (PCIeGen3 2レーン)、WLAN (PCIeGen3 1レーン)、SD Reader (PCIeGen3 1レーン)、
映像出力は最大3画面、内1画面はノートPCの搭載ディスプレイ(eDP)、外部への出力は2x USB-C(DP)、
となっているようにChromiuOSのソースコードからは読める。13

また、Dalboz の一部SKUを除いて14、タッチスクリーンが実装されている。15

Dalboz 以外のボード、EzkinilMoephiusTrembyle それぞれの間から大きな違いは見られず、あるのはセンサーやファン、入力インターフェイス、バッテリーといった細かい違いとされる。

Ezkinil

バッテリーはAP18C7M16。容量は3834mAh(55.9Wh)17
バッテリーから Ezkinil はAcerのボードと思われる。

USBと映像出力の仕様は、2x USB-A(5Gbps)、3x USB-C(5Gbps)、1x HDMIとされる。18

Morphius

入力インターフェイスにトラックポイントがあるとされている。19
トラックポイントと言えば、今はLenovoブランドのThinkPadが連想されるが、既にLenovoはThinkPadの名を冠したChromebookを出しており、Ryzenを搭載したChromebookなThinkPadの登場も期待できる。

バッテリーは SMP SB10x63140、または Sunwoda L18D3PG1 。20
調べた所、後者はあっさりと見つかり、バッテリー容量は3735mAh(42Wh)。21
Lenovo専用のバッテリーということだが、トラックポイントと合わせて考えるに、Morphius はLenovo用のボードだろう。

USBと映像出力の仕様は、1x USB-A(5Gbps)、3x USB-C(5Gbps)で内1つが映像出力に対応、1x HDMIとされる。22

Trembyle

入力インターフェイス等で、これといった特徴は見つけられなかった。

バッテリーはAP18F4M23。容量は6850mAh(52Wh)24
TrembyleEzkinil 同様にAcer用のボードだろうか。バッテリーからして Ezkinil より大きいサイズのノートPC、高性能向けのボードと考えられる。

USBと映像出力の仕様は、3x USB-A(10Gbps)、3x USB-C(10Gbps) 内1つが映像出力に対応、1x HDMIとされ、10Gbpsに対応という所からも Trembyle が上位製品ということを窺える。15

ちなみに上記のベンチマーク結果は Trembyle で実行されたもの。12

Dalboz

ソケットからして他と同じ FP5 BGAソケット ではなく、FT5 BGAソケット を採用している。25
その FT5 BGAソケット は、メモリをシングルチャネルとし、SATAインターフェイスは無しとパッケージサイズを小さくし、配線数も減らしているものと思われる。26元々 FP5 BGAソケットRaven のために作られた仕様であったため、規模を小さくした Raven2 には必要のない部分があった。
ただSATAに関しては、後のパッチセットでは記述がなくなっているため、いまいち確定していないところがある。

消費電力も持続可能な状態で最大4.8W、ブースト時最大9Wに制限されており、冷却設計の簡易化によるコスト削減、バッテリー持続時間に期待が持てる。25

そしてバッテリーは3種類あり、SMP L19M3PG1、LGC L19L3PG1、Celxpert L19C3PG1。その中で仕様が見つかったのは L19L3PG1のみで、容量は4123mAh(47.6Wh)。17

バッテリーから Dalboz はLenovoのボードと思われるが、残念ながらトラックポイントが存在することを示すコードは無かった。

USBは、3x USB-A(5Gbps)、2x USB-C (5Gbps)、1x HDMIとされる。27

Morphius のコードにはファンのパラメーターが記述されていたのに対し18Dalboz には無いことから、Dalboz はファンレスモデルである可能性がある。28


  1. https://twitter.com/TUM_APISAK/status/1248112071641726977
      Google zork - Geekbench Browser ↩︎ ↩︎

  2. https://twitter.com/TUM_APISAK/status/1248132832796401670
      Google zork - Geekbench Browser ↩︎ ↩︎

  3. AMD Ryzen™ 7 3700U Mobile Processor | AMD ↩︎

  4. AMD Ryzen™ 5 3500U Mobile Processor | AMD ↩︎

  5. AMD Ryzen™ 3 3250U | AMD ↩︎

  6. AMD Athlon™ Silver 3050U | AMD ↩︎

  7. AMD Athlon™ Gold 3150U | AMD ↩︎

  8. https://github.com/GPUOpen-Drivers/pal/blob/e642f608a62887d40d1f25509d2951a4a3576985/src/core/os/nullDevice/ndDevice.cpp#L888 ↩︎

  9. https://github.com/GPUOpen-Drivers/pal/blob/e642f608a62887d40d1f25509d2951a4a3576985/src/core/os/nullDevice/ndDevice.cpp#L905 ↩︎

  10. new_variant: add reference board name to create_coreboot_variant.sh (I9ac7ad18) · Gerrit Code Review ↩︎

  11. mainboard/amd/cereme : Create Initial Cereme Platform (I593d661f) · Gerrit Code Review ↩︎

  12. https://github.com/coreboot/chrome-ec/tree/master/baseboard ↩︎

  13. Dalboz: tuning PCIe topology make DUT can boot up from SSD (I9113b54d) · Gerrit Code Review ↩︎

  14. dalboz: add configuration according to SKU ID (Ie1e14df8) · Gerrit Code Review ↩︎

  15. mb/google/zork: Touchscreen uses an edge low interrupt (Ieb21febd) · Gerrit Code Review ↩︎ ↩︎

  16. Ezkinil: Add new SMP battery (Ib290b109) · Gerrit Code Review ↩︎

  17. Acer AP18C7M, 4ICP5/57/79 15.4V 3834mAh original batteries - $71.81 : Laptop battery shop ↩︎ ↩︎

  18. https://chromium-review.googlesource.com/c/chromiumos/platform/ec/+/2142848/1/board/ezkinil/board.h#101 ↩︎ ↩︎

  19. morphius: add gpio for PS/2 interface (Ic71c3b61) · Gerrit Code Review ↩︎

  20. morphius: Add batteries configuration (I258058ca) · Gerrit Code Review ↩︎

  21. Canada L18D3PG1 Battery For Lenovo Laptop Li-Polymer 11.25v 42Wh Black ↩︎

  22. https://chromium-review.googlesource.com/c/chromiumos/platform/ec/+/2142848/1/board/morphius/board.h#109 ↩︎

  23. Trembyle: Use correct battery settings. (I5dc993bf) · Gerrit Code Review ↩︎

  24. Acer AP18F4M, 2ICP5/54/90-2 7.6V 6850mAh original batteries - $62.39 : Laptop battery shop ↩︎

  25. mb/google/zork: update power parameters to 4.8w for dalboz (I711d1109) · Gerrit Code Review ↩︎ ↩︎

  26. https://chromium-review.googlesource.com/c/chromiumos/third_party/coreboot/+/2051509/1/src/soc/amd/picasso/Kconfig ↩︎

  27. https://chromium-review.googlesource.com/c/chromiumos/platform/ec/+/2142848/1/board/dalboz/board.h#91 ↩︎

  28. https://chromium-review.googlesource.com/c/chromiumos/platform/ec/+/2142848/1/board/morphius/board.c ↩︎