Coelacanth's Dream

Intel、Thunder Bay VPU をキャンセル

Intel の Rashmi A 氏により、Linux Kernel から Thunder Bay VPU 固有のコードを削除するパッチを投稿された。パッチ内にて Thunder Bay VPU がキャンセルされたことが伝えられている。

    Remove Thunder Bay specific code as the product got cancelled and 
    there are no end customers or users.

Thunder Bay

Thunder Bay VPU は CPU に Arm Cortex-A53 を採用し、複数の VPUスライスを持つ SoC/VPU になることが過去の Linux Kernel へのパッチにて公開されていた。1
現行の Intel VPU 製品とされている Keem Bay APU も同様に Arm Cortex-A53 を採用しているが、Thunder Bay VPU は Arm Cortex-A53 4-Core の CPUクラスタを最大で 4基、VPUスライスは Full バリアントで 4基、Prime (Standard) で 2基持ち、Keem Bay VPU よりも大規模な構成を取っている。

Thunder Bay VPU の SKU などが Intel から正式に発表されることはなかったが、2021/11/04 付で公開されたニュースリリースでは、中国の Tencent と協力し、推論性能とメディア性能を活かした交通制御システムが実演され、また Xeon プロセッサと PCIe カードに搭載した Thunder Bay VPU を組み合わせたプラットフォームを提供する予定であることが発表されている。2
先のパッチでは、Thunder Bay VPU を採用する顧客とユーザーがいないことをキャンセルされた理由としているため、そうしたプロジェクトも立ち消えとなってしまったのだろう。

Keem Bay {kmb}

Keem Bay VPU についても、発表自体は 2019/11/15 の Intel AI Summit だったが、Intel 公式サイトに掲載されている Keem Bay VPU の SKU は 3700VC のみ。発売日は Q1'23 となっている。3
恐らくモバイル向け Raptor Lake と組み合わせることを想定した SKU と思われる。

3400VE3700VE といった SKU の性能を掲載しているページもあるが、Gen 3 Intel® Movidius™ VPU (coming soon…) のまま更新されていない。

Thunder Bay VPU はその規模とニュースリリースの内容から、クラウドサーバー向けの製品として開発されていたことがうかがえるが、最終的にはキャンセルされた。
一応エッジ推論処理向けの Keem Bay VPU は続けられており、またモバイル向け Raptor Lake と組み合わせた採用が進められていることが以前に語られている。
Meteor Lake では SoC Tile に VPU が統合され、今後はクライアント向けでの活用が加速してことが考えられる。
すでに Intel の Github レポジトリでは、Meteor Lake VPU 向けの UMD (User Mode Driver) が公開されており、Intel VPU の普及と同時に広範な利用が期待される。

参考リンク