先日、Intelがデスクトップ向けに第10世代Core Comet Lake-S 、それをサポートする 400シリーズチップセット の情報を公開した。
Intel Delivers World’s Fastest Gaming Processor | Intel Newsroom
Intel® 400 Series Chipsets Product Specifications
そしてその 400シリーズチップセット だが、ベースとなるPCHが複数存在し、またそれぞれ微妙に違いが存在するため、自分の頭の中を整理するためにも今回記事としてまとめることとした。
主な参考資料:
インデックス
CometLake1
Comet Lake U-Series /H-Series に用いられるPCH。
サポートするメモリタイプは LPDDR3 と DDR4だが、ここが面白い点であり、Intelは Comet Lake U-Series 発表時、LPDDR4/xメモリをサポートするとしていた。1
AnandTechによれば、最初のB0ステッピングではサポートされず、K1ステッピングでサポートされることになっている。また、そうなった理由として、LPDDR3 と DDR4 はメモリコントローラーのデザインが似通っており、IPをほぼ再利用できるが、LPDDR4はそうではなく、デザインの変更を必要とするため検証に時間が掛かったのではないかと推測している。2
CometLake2
そしてその LPDDR4メモリをサポートするPCHが CometLake2 となっている。代わりに CometLake1 でサポートされていた LPDDR3メモリが、サポートから外れている。
違いとしてはそれだけだが、Intelは Comet Lake U-Series のB0ステッピングとK1ステッピングでSKU名を変えていないため、それだけでは判別が不可能となっている。
具体的な名前を出すと、Core i7-10710U に CometLake1 と CometLake2 が混在している。
搭載されているシステムのメモリが LPDDR3、または LPDDR4であれば判別は可能だが、この方法だと DDR4を採用している場合破綻する。
そこで Intel は CPUIDのEAXレジスタの値で判別することを推奨しており、CometLake1 /B0ステッピング は値が 0x000A0660
または 0x000806EC
、CometLake2 /K1ステッピング は値が 0x000A0661
となる。
しかしこの方法にも問題があるはずだ。消費者からすれば、自分が買おうとしているPCに搭載されたCPUの CPUID を知ることなんてできない。DDR4メモリを採用している場合は完全に不明となる。
メモリ以外で性能に関わる変更が為されていないことを願うのみだ。
CometLakeS / CometLakeV
デスクトップ向けのPCHには CometLakeS と CometLakeV の2種類が存在し、
CometLakeS は 14nmプロセス 、CometLakeV は 22nmプロセス で製造される。これが CometLakeS とのわかりやすい違いとなるだろう。
前世代から CometLakeS に追加された新機能には 2.5G Ethernetコントローラー I225、Wi-Fi 6モジュール AX200/201 のサポートがあげられる。
CometLakeS の具体的な製品名は、Z490 /H470 、まだ Intel のサイトには掲載されていないが Q470 /W480 、そして意外なことに B460 となっている。
For all other Intel® 400 Series Chipsets, use CometLakeS. For the Intel® B460 Chipset use CometLakeS.
引用元:FSP/README.md at 8af76d732b006acceaaee184b597a46f39ec15e3 · IntelFsp/FSP
意外だと感じたのは、CorebootのPCI IDリストに Comet Lake PCH の中で H410 と B460 が無く、
CometLakeV だと思っていたからだ。H410 と、これも未発表だが B460C は CometLakeV と記述されている。3
パターンとして、リネームされたチップセットは記載されていない(例: Z370)。
H470 と B460 で PCI ID を共有している可能性が?
ただ Intel のサイトを確認すると、確かに B460 のブロックダイアグラムには 2.5G Ethernet とWi-Fi 6 AX200 が描かれているのに対し、H420E /H410 にはそれらがないため、B460 が CometLakeS というのはもっともらしい。 45
Coreboot は単なる記載漏れなのだろうか?
言えるのは、少なくとも B460 は CometLakeS ということだ。
逆にそうわざわざ書いてあることが引っかかりもするが。
CometLake1 、CometLake2 、CometLakeS は、Linux Kernelからは Comet Lake PCH と、
CometLakeV は Comet Lake V PCH と判定される。67
Process | Product | |
---|---|---|
CometLakeS | 14nm | Z490 /H470 /B460 /W480 /Q470 |
CometLakeV | 22nm | B460C /H420E? /H410 |
参考リンク
- IntelFsp/FSP: Intel(R) Firmware Support Package (FSP)
- coreboot/coreboot: Mirror of https://review.coreboot.org/coreboot.git. We don’t handle Pull Requests.
- linux/intel_pch.h at 50a5065f4474c2dbc1f7462b45a32d33d7b48d88 · torvalds/linux
- linux/intel_pch.c at 48a1b8d4af01abd38e51cef205a0f2c4deeb092a · torvalds/linux
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Intel Expands 10th Gen Intel Core Mobile Processor Family, Offering Double Digit Performance Gains | Intel Newsroom ↩︎
-
FSP/README.md at 8af76d732b006acceaaee184b597a46f39ec15e3 · IntelFsp/FSP ↩︎
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https://github.com/coreboot/coreboot/blob/d7a6d61d51ebf4025484e567a20b2b50fda5a6f9/src/include/device/pci_ids.h#L2840 ↩︎
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https://github.com/torvalds/linux/blob/50a5065f4474c2dbc1f7462b45a32d33d7b48d88/drivers/gpu/drm/i915/intel_pch.h#L44 ↩︎