Coelacanth's Dream

AMD 「PRO 500」チップセット続報 & まとめ

先日書いた「PRO 500」及び「PRO 560」について、もう少し情報を手に入れることができた。

「PRO 500」 ≠ 「PRO 560」

まず、他に「PRO 560」を搭載したシステムがないか調べたところ、HP EliteDesk 705 G5 Small Form Factorが見つかった。
HP EliteDesk 705 G5 Small Form Factor Business PC Specifications | HP® Customer Support

そしてありがたいことに、HPはマニュアルとしてEliteDesk 705 G5のマザーボード画像を解説付きで公開している。
HP EliteDesk 705 G5 Small Form Factor PC Manuals | HP® Customer Support
(リンク先 PDFファイル:HP EliteDesk 705 G5 Small Form Factor PC - Motherboard Viewer)

それを見ると、そこには(たぶん)多くの人が見慣れているであろう外部チップセットの姿が。
PRO 560 external chipset

つまり前回の記事で自分が書いた、「PRO 560」は外部チップセットレス、というのは間違っていたこととなる。

AMD公式サイトにあった以下の文言と矛盾するかもしれないが、
Socket AM4 Platform | AMD

To satisfy customers who value the smallest form factors, AMD’s X300, A300, and PRO 500 chipsets provide processor-direct access for excellent performance.

それとは別に、HPに「PRO 500」を搭載したシステムがあった。
HP Desktop Pro A G3 Specifications | HP® Customer Support

Lenovoでは「PRO 560」を搭載したシステムのみだったことから、思い違いをしてしまったが、
「PRO 500」と「PRO 560」は別物、ということだろう。

「PRO 500」はA/X300同様に外部チップセットを必要としないプラットフォームであり、
「PRO 560」は外部チップセットを必要とする。

「PRO 500」 = 「B300」 ?

またさらにややこしい話となってしまうが、
HP Desktop Pro A G3の資料が 6390ENL6362EEAP の2バージョン見つかり、前者の方が古く、最下部に 2019 October 2 とある。
4AA7-6390ENL.pdf
4AA7-6362EEAP.pdf

そして古い 6390ENL では、「PRO 500」ではなく「B500」とあり、
さらには注釈を辿ると、

AMD B300 with AMD Ryzen™ 5 PRO 2400G & AMD Ryzen™ 3 PRO 2200G processors.

と記載されている。

簡単に表すと、「B300」 = (B500) = 「PRO 500」、となる。

最下部にJanuary 2020 と記された、最新バージョンと思われる 6362EEAP では「PRO 500」になっていることから、どんな理由があったかは知らないが 名称変更がAMDの方からあったのだろう。
AMD公式サイトでは何故かハブられていた「B300」がまさか最新のチップセットとして復活していたのも驚きだ。

そのまま「B300」の名を使わなかった理由だが、
元々「A300」と「B300」の違いがわかりにくい、もしくはほとんどなかったため、まずラインナップをシンプルにするため「B300」を消し、
その後、OEM向けにRyzen 3000シリーズを正式にサポートしているチップセット(規格)として出そう、という時に「B300」を再利用しよう
となったのかもしれない。あくまで推測。
ただ、それならPCIeGen3までのサポートとなった理由も納得いくのではないだろうか。
しかし「B300」は外部チップセットを必要としないため、仕様変更が一部加えられている可能性もある。

「PRO 560」の正体は

そうなると気になるのは「PRO 560」の正体だ。

まず、パッケージ外観からしてX570ではない。PCIeGen4もサポートしていないことからも、それはわかる。
既存の300/400シリーズチップセットのどれかか、新設計かとなる。

PCIeGen3 x1があるが、300/400シリーズでも一応仕様としてはPCIeGen3 x2まで出せるはずであり、
「PRO 560」もOEM向けにRyzen 3000シリーズを正式にサポートしているチップセットとしてリネームしたものかもしれない
もしくは、以前より名前が出ているOEM向けの「B550A」チップセットと近い存在である可能性もある。
そちらもチップセット側のPCIe Gen4はサポートされないという話だ。