Intel NUC Compute Elementsの軽い解説とまとめ

CES2020にて正式発表されたIntel NUC Compute Elementの構成が個人的に気になったため、整理ついでに一度まとめてみることにした。
主要なソースはIntel公式の資料。
NUC9QN_TechProdSpec.pdf – Intel.com

概要

Ghost Canyon をおおまかに言って2つのボードと電源、それとケースで構成される。

1つはCompute Elementで、こちらにCPU、PCHがあり、2x SODIMM memory、2x M.2 SSD(NVMe/SATA)を搭載できる。
また、オーディオヘッダー、USBヘッダー、ファンヘッダー、パワースイッチ等のIOヘッダーもこちらにある。EPS12V 8pin 電源コネクタとパワーボタンもあることから Compute Element単体でも起動できそうだが、実際の所はどうなのだろう。
ExtreamとProの2種類があり、違いは搭載されるCPUとそれによるECCのサポート、vProの有無となる。
PCHは共通してCM246チップセット。

もう1つはBBWC1Bベースボード。
主にGPU等の拡張カードを差すためのボードで、Compute Elementが必要な機能を統合している分シンプルな構成をしており、Compute Element用のPCIe 3.0 x16スロット、PCIe 3.0 x4接続のM.2スロット(2242/2280/22110)、PCIe 3.0 x16スロット、PCIe 3.0 x4スロット、
そして電源入力コネクターとPMBUS(Power Management Bus) 5pin ヘッダーが実装されている。
M.2スロットはCompute Elementとは違い、NVMeのみ対応となる。
後述する理由からPLXのような特別なチップを搭載している訳でもないらしい。

電源はFSP500-30ASという製品名で、Flex-ATX形状、最大定格出力は500W、変換効率は80+Platinumとのこと。

ケースは、前面にパワーボタン、UHS-II SDXCリーダー、2x USB 3.1 Gen2 Type-Aポート、3.5mm オーディオコネクターがあり、
上面には(恐らく)92mmファンを2基搭載。

これらをまとめてIntel NUC 9 Extream/Pro Kitを構成する。

詳細

CPU

EXtreamはCore i5-9300H /i7-9750H /i9-9980HK、ProはCore i7-9850H /Xeon E2286Mのどれかが搭載されている。
ソケットはBGAタイプであり、換装は不可能。

NUC 9 Extream i5-9300H i7-9750H i9-9980HK
Core / Thread 4/8 6/12 8/16
Base Clock (GHz) 2.4 2.6 2.4
Max Turbo Clock (GHz) 4.1 4.5 5.0
NUC 9 Pro i7-9850H E2286M
Core / Thread 6/12 8/16
Base Clock (GHz) 2.6 2.4
Max Turbo Clock (GHz) 4.6 5.0

PCH

上述したように、Extream/Pro共通でCM246。
Mobile Intel® CM246 Chipset Product Specifications – ark.intel.com
ブロックダイアグラムは以下

Source: NUC9QN_TechProdSpec.pdf – Intel.com

ark.intel.com1にもあるように、Compute Element上のM.2スロットは2つともPCHからのもの。
それとは別にSATA 6Gbpsが存在し、Compute Elementのボード上にもデータと電源のピンがまとめられたFPCスタイルのコネクターが実装されているが、ケース側にSATAドライブを収めるスペースがない。
Compute Elementを使った別製品を計画しているのだろうか?

BCWC1B

M.2スロット(NVME, PCIe3.0 x4)、PCIe3.0 x16スロット、PCIe3.0 x4スロットがあるが、Compute ElementからはPCIe3.0 x16までしか出ておらず、
そのためPCIe3.0 x16スロットのみ使用している時はx16の帯域で動作するが、他のBCWC1B上のM.2スロット、PCIe3.0 x4スロットのどちらか1つでもx16スロットと同時に使用している場合はレーンが分配され、
x16スロットに接続されたデバイスは、x8の帯域で動作することとなる。
このことからPLXといったPCIeスイッチチップは搭載していないはずだ。
基板上にもそれらしきものは見当たらない。

電源が10pinの見慣れないコネクタだが、調べた所ATX 10pinで、OEMの小型PCで使われることがある……らしい。
ピンアサインは各社で微妙に違うため実質独自規格なのだろうか?
電源には詳しくない……

最近になってIntelが提唱するATX電源コネクタの新規格、ATX12VOも10pinだが、やはり微妙に違い、またPCIeスロットに3.3Vを供給する必要があるため、別物なはずだ。
ATX12VO: Future Power Supplies will not have 24-pins ATX connector anymore, but 10-pins – guru3d.com

FSP500-30AS

Compute Element用のEPS12V 8pin、直角タイプの8pinと直線タイプの6+2pinのPCIe補助電源、PMBUS 5pinのコネクターが引き出されている。
容量としてはPCIe x16スロットと補助電源を合わせて375W(PCIe 75W + 2x8pin 300W)までのGPUが動作可能なはずだが、
サポートは225W(PCIe 75W + 8pin 150W)までとなっている。
そりゃそうか……

エアフロー

左側面から吸気し、上面の2x 92mmファンによって排気する仕組み。
Compute Elementのブロアーファンも同じ方向であり、電源もケース内に吐き出す形と思われるため、まとめて排気できる。
ただGPUの冷却はまだ良いとして、Compute Elementはまともに冷却できるか疑問が残る。
GPUをx16スロットに差すと隙間がなくなってしまい、ブロアーファンが吸気するための余裕がだいぶなくなる。
Compute Elementの実装面を逆にして、GPUと別方向から吸気するといった方法は取れなかったのだろうか。もしかしたらPCIe x16の配線による制限等があったのかもしれない。
それぞれのファンの回転数は不明。
Ghostを名に冠しているのだから静かだといいが。

感想

売れるのかな。
価格を見ると、i5モデルで$945.02 – $947.49、i7モデルで$1104.99 – $1107.45、i9モデルで$1535.66 – $1538.13。
dGPU無しでこれだ。普通に自作すれば同額でdGPU有りの構成が組めるだろうし、選択肢も広い
それに省スペースで高性能が可能と言っても、それがどこまで実現できるかはまた別の話が気がする。
障害になるのはやはり熱だ。
性能が高ければ当然相応の熱が出る。そして小型にすると排熱が難しくなる。
VegaMを搭載したSkull Canyonも同じ問題を抱えていたのではないかと思う。
スペースはないから小型で、価格が高くてもいいから出来る限り性能が高いPCが欲しい、という人がどれだけいるだろうか。
業務向けならばまだ需要はあるはずだとは思う。

パーツの自由度は一般的なPCより劣るものの、これまでのNUCに比べたら格段に広いため、Intelが今後どういった新Compute Elementを出すか次第かもしれない。

Update:
 2020/07/20 11:51 JST